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ティェンタオの自由訳漢詩 2157

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 晩唐28ー陸亀蒙
     新沙                  新沙

  渤澥声中漲小堤   渤澥(ぼっかい)の声中(せいちゅう)  小堤(しょうてい)漲(みなぎ)る
  官家知後海鷗知   官家(かんか)の知る後(のち)  海鷗(かいおう)知る
  蓬萊有路教人到   蓬萊(ほうらい)に路(みち)有らば人をして到らしめ
  応亦年年税紫芝   応(まさ)に亦(ま)た年年(ねんねん)  紫芝(しし)に税すべし

  ⊂訳⊃
          渤海の海鳴りと共に  小さな洲ができると

          鷗より先に  役人がそれを知る

          蓬萊山への  路があれば人を派遣し

          毎年 毎年  霊芝に税を課すだろう


 ⊂ものがたり⊃ 陸亀蒙(りくきもう:?ー881?)は姑蘇(江蘇省蘇州市)の人。三国呉の陸氏の末裔といいます。進士に及第できず、湖州刺史や蘇州刺史の幕僚をつとめますが、早くに隠退して故郷の松江甫里(蘇州市の東南)に住みました。晩年は黄巣の乱の時期にあたり、僖宗の中和元年(881)ころに亡くなったとみられます。
 詩題の「新沙」(しんさ)は新しくできた砂洲で、税の取り立てが苛酷なことを詠います。「渤澥」は渤海のことですが、ここではひろく東の海を指すのでしょう。波によって新しい砂洲ができると、「官家」(皇帝の官吏)が鷗よりも先にそのことを知ると課税に漏れがないことを皮肉ります。後半は別の喩えで、仙人の住む蓬萊山への路が分かれば、收税吏を派遣して「紫芝」(紫の霊芝)に税を課すだろうと揶揄します。

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