晩唐27ー皮日休
酒病偶作 酒病偶作
鬱林歩障昼遮明 鬱林(うつりん)の歩障(ほしょう) 昼も明(めい)を遮(さえぎ)る
一炷濃香養病酲 一炷(いっちゅう) 濃香(のうこう)にして 病酲(びょうてい)を養う
何事晩来還欲飲 何事(なにごと)ぞ 晩来(ばんらい) 還(ま)た飲まんと欲す
隔牆聞売蛤蜊声 牆(しょう)を隔てて聞く 蛤蜊(こうり)を売る声
⊂訳⊃
昼間なのに 暗い深い林に幔幕を張ったようだ
一灯の明りが 二日酔いの頭に心地よい気分を運ぶ
何たることだ 日暮れになるとまた飲みたくなり
貝売りの声が 塀の向こうから聞こえてきた
⊂ものがたり⊃ 詩題の「酒病偶作」(しゅびょうぐうさく)は二日酔いのときにたまたま作った詩の意味です。「鬱林の歩障」には故事があり、晋の富豪石崇(せきすう)は林中の散歩道に幔幕を張りめぐらし、歩く姿が見えないようにしたといいます。豪奢な生活の比喩です。また、「鬱林の歩障」には鬱林石の説話もあり、鬱林は清廉な官吏を意味します。それを遮るのですから官吏の汚職を指弾する意味にもなります。
「一炷」は一本の灯心、「病酲」は悪酔いのことで、灯火が宴席の心地よい雰囲気を思い出させるのでしょう。ところが日暮れになるとまた飲みたくなります。「蛤蜊」はハマグリとアサリのことで、酒の肴です。その売り声が塀の外から聞こえて来ました。起句を鬱林石の説話と解すれば、汚職の誘惑の声が聞こえてきたという意味になるでしょう。
以上二首の詩には陸亀蒙の唱和がありますので、蘇州刺史の幕僚として蘇州に滞在したときの作品と思われます。
酒病偶作 酒病偶作
鬱林歩障昼遮明 鬱林(うつりん)の歩障(ほしょう) 昼も明(めい)を遮(さえぎ)る
一炷濃香養病酲 一炷(いっちゅう) 濃香(のうこう)にして 病酲(びょうてい)を養う
何事晩来還欲飲 何事(なにごと)ぞ 晩来(ばんらい) 還(ま)た飲まんと欲す
隔牆聞売蛤蜊声 牆(しょう)を隔てて聞く 蛤蜊(こうり)を売る声
⊂訳⊃
昼間なのに 暗い深い林に幔幕を張ったようだ
一灯の明りが 二日酔いの頭に心地よい気分を運ぶ
何たることだ 日暮れになるとまた飲みたくなり
貝売りの声が 塀の向こうから聞こえてきた
⊂ものがたり⊃ 詩題の「酒病偶作」(しゅびょうぐうさく)は二日酔いのときにたまたま作った詩の意味です。「鬱林の歩障」には故事があり、晋の富豪石崇(せきすう)は林中の散歩道に幔幕を張りめぐらし、歩く姿が見えないようにしたといいます。豪奢な生活の比喩です。また、「鬱林の歩障」には鬱林石の説話もあり、鬱林は清廉な官吏を意味します。それを遮るのですから官吏の汚職を指弾する意味にもなります。
「一炷」は一本の灯心、「病酲」は悪酔いのことで、灯火が宴席の心地よい雰囲気を思い出させるのでしょう。ところが日暮れになるとまた飲みたくなります。「蛤蜊」はハマグリとアサリのことで、酒の肴です。その売り声が塀の外から聞こえて来ました。起句を鬱林石の説話と解すれば、汚職の誘惑の声が聞こえてきたという意味になるでしょう。
以上二首の詩には陸亀蒙の唱和がありますので、蘇州刺史の幕僚として蘇州に滞在したときの作品と思われます。