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ティェンタオの自由訳漢詩 2156

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 晩唐27ー皮日休
    酒病偶作                酒病偶作

  鬱林歩障昼遮明   鬱林(うつりん)の歩障(ほしょう)  昼も明(めい)を遮(さえぎ)る
  一炷濃香養病酲   一炷(いっちゅう)  濃香(のうこう)にして  病酲(びょうてい)を養う
  何事晩来還欲飲   何事(なにごと)ぞ  晩来(ばんらい)  還(ま)た飲まんと欲す
  隔牆聞売蛤蜊声   牆(しょう)を隔てて聞く  蛤蜊(こうり)を売る声

  ⊂訳⊃
          昼間なのに   暗い深い林に幔幕を張ったようだ

          一灯の明りが  二日酔いの頭に心地よい気分を運ぶ

          何たることだ  日暮れになるとまた飲みたくなり

          貝売りの声が  塀の向こうから聞こえてきた


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「酒病偶作」(しゅびょうぐうさく)は二日酔いのときにたまたま作った詩の意味です。「鬱林の歩障」には故事があり、晋の富豪石崇(せきすう)は林中の散歩道に幔幕を張りめぐらし、歩く姿が見えないようにしたといいます。豪奢な生活の比喩です。また、「鬱林の歩障」には鬱林石の説話もあり、鬱林は清廉な官吏を意味します。それを遮るのですから官吏の汚職を指弾する意味にもなります。
 「一炷」は一本の灯心、「病酲」は悪酔いのことで、灯火が宴席の心地よい雰囲気を思い出させるのでしょう。ところが日暮れになるとまた飲みたくなります。「蛤蜊」はハマグリとアサリのことで、酒の肴です。その売り声が塀の外から聞こえて来ました。起句を鬱林石の説話と解すれば、汚職の誘惑の声が聞こえてきたという意味になるでしょう。
 以上二首の詩には陸亀蒙の唱和がありますので、蘇州刺史の幕僚として蘇州に滞在したときの作品と思われます。 

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