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ティェンタオの自由訳漢詩 2155

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 晩唐26ー皮日休
    春夕酒醒               春夕酒醒

  四弦纔罷酔蛮奴   四弦(よんげん)  纔(わずか)に罷(や)む  酔蛮奴(すいばんど)
  酃醁余香在翠炉   酃醁(れいりょく)の余香(よこう)  翠炉(すいろ)に在り
  夜半醒来紅蠟短   夜半(やはん)醒(さ)め来たれば紅蠟(こうろう)短し
  一枝寒涙作珊瑚   一枝(いっし)の寒涙(かんるい)  珊瑚(さんご)を作(な)す

  ⊂訳⊃
          四弦の琵琶が止むや  この酔っぱらいめ

          酃醁の酒の香りが   炉上にただよっている

          真夜中に目醒めると  短くなった蝋燭いっぽん

          紅蠟の涙が寒々と   融けた珊瑚のように垂れている


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「春夕酒醒」(しゅんゆうしゅせい)は春の夜、酒が醒めての詩という意味です。酔っぱらって宴会の席で寝込んでしまい、夜中に目覚めたときの作でしょう。「四弦」は琵琶のこと。「纔に罷む」はいま演奏が終わったという感じですが、寝込む前のことを思い出しているのでしょう。
 「酔蛮奴」は酔っぱらいの蛮族という意味になりますが、大酒のみの自分を卑称するものです。「酃醁」は湖南酃県の銘酒で、炉で暖められ、よい香りを放っています。蝋燭が一本、燃えて短くなり、融けた赤い蠟が珊瑚の涙のように寒々と垂れていると、人生の寂寞を詠うのです。

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