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ティェンタオの自由訳漢詩 2153

 晩唐24ー皮日休
   橡媼嘆             橡媼の嘆き          (中八句)

  山前有熟稲     山前(さんぜん)に熟稲(じゅくとう)有り
  紫穂襲人香     紫穂(しすい)  人を襲うて香(かん)ばし
  細獲又精舂     細(こま)やかに獲(かりと)り  又た精(くわ)しく舂(つ)いて
  粒粒如玉璫     粒粒(りゅうりゅう)  玉璫(ぎょくとう)の如し
  持之納於官     之(こ)れを持って  官に納(い)れ
  私室無倉箱     私室(ししつ)に倉箱(そうそう)無し
  如何一石余     如何(いかん)ぞ   一石余(いっこくよ)
  只作五斗量     只(た)だ五斗(ごと)と作(な)して量(はか)るや

  ⊂訳⊃
          山の麓で稲がみのり
          紫の穂の香りが  鼻をうるおす
          丁寧に穫り入れ  念入りに搗いて
          ひと粒ひと粒が  玉の耳飾りのようだ
          これを運んで    役所に納めると
          民の倉も米櫃も  からになる
          一石余りの米が  役所で量ると
          どうして  五石になってしまうのか


 ⊂ものがたり⊃ 中八句は稲の話です。媼が橡の実のような面倒なものを拾うのはなぜか、その背景が描かれます。主食である稲を刈り取って精製しても、全部役所に納めなければなりません。しかも役所の桝は倍の大きさで、大盛り一石の米は五斗に計量されてしまうのです。

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