晩唐24ー皮日休
橡媼嘆 橡媼の嘆き (中八句)
山前有熟稲 山前(さんぜん)に熟稲(じゅくとう)有り
紫穂襲人香 紫穂(しすい) 人を襲うて香(かん)ばし
細獲又精舂 細(こま)やかに獲(かりと)り 又た精(くわ)しく舂(つ)いて
粒粒如玉璫 粒粒(りゅうりゅう) 玉璫(ぎょくとう)の如し
持之納於官 之(こ)れを持って 官に納(い)れ
私室無倉箱 私室(ししつ)に倉箱(そうそう)無し
如何一石余 如何(いかん)ぞ 一石余(いっこくよ)
只作五斗量 只(た)だ五斗(ごと)と作(な)して量(はか)るや
⊂訳⊃
山の麓で稲がみのり
紫の穂の香りが 鼻をうるおす
丁寧に穫り入れ 念入りに搗いて
ひと粒ひと粒が 玉の耳飾りのようだ
これを運んで 役所に納めると
民の倉も米櫃も からになる
一石余りの米が 役所で量ると
どうして 五石になってしまうのか
⊂ものがたり⊃ 中八句は稲の話です。媼が橡の実のような面倒なものを拾うのはなぜか、その背景が描かれます。主食である稲を刈り取って精製しても、全部役所に納めなければなりません。しかも役所の桝は倍の大きさで、大盛り一石の米は五斗に計量されてしまうのです。
橡媼嘆 橡媼の嘆き (中八句)
山前有熟稲 山前(さんぜん)に熟稲(じゅくとう)有り
紫穂襲人香 紫穂(しすい) 人を襲うて香(かん)ばし
細獲又精舂 細(こま)やかに獲(かりと)り 又た精(くわ)しく舂(つ)いて
粒粒如玉璫 粒粒(りゅうりゅう) 玉璫(ぎょくとう)の如し
持之納於官 之(こ)れを持って 官に納(い)れ
私室無倉箱 私室(ししつ)に倉箱(そうそう)無し
如何一石余 如何(いかん)ぞ 一石余(いっこくよ)
只作五斗量 只(た)だ五斗(ごと)と作(な)して量(はか)るや
⊂訳⊃
山の麓で稲がみのり
紫の穂の香りが 鼻をうるおす
丁寧に穫り入れ 念入りに搗いて
ひと粒ひと粒が 玉の耳飾りのようだ
これを運んで 役所に納めると
民の倉も米櫃も からになる
一石余りの米が 役所で量ると
どうして 五石になってしまうのか
⊂ものがたり⊃ 中八句は稲の話です。媼が橡の実のような面倒なものを拾うのはなぜか、その背景が描かれます。主食である稲を刈り取って精製しても、全部役所に納めなければなりません。しかも役所の桝は倍の大きさで、大盛り一石の米は五斗に計量されてしまうのです。