晩唐22ー羅隠
西施 西施
家国興亡自有時 家国(かこく)の興亡 自(おのず)から時(とき)有り
呉人何苦進西施 呉人(ごひと) 何ぞ西施を進むるを苦しむ
西施若解傾呉国 西施(せいし) 若(も)し解(よ)く呉国(ごこく)を傾くれば
越国亡来又是誰 越国(えつこく)の亡びしは 又(ま)た是(こ)れ誰(た)ぞ
⊂訳⊃
国家の興亡には 時の趨勢というものがある
西施のために 呉人はなんと苦しんだことか
もしも西施が 呉を滅ぼしたのであれば
越が滅んだのは 誰のせいだろう
⊂ものがたり⊃ 詩題の「西施」は春秋呉越興亡の美女です。詩もわかりやすく、唐が滅んだあとの晩年の作でしょう。
西施の説話は後漢の趙曄(ちょうよう)『呉越春秋』に基づくもので、呉に敗れた越王勾践(こうせん)が西施を呉に献上しました。呉王夫差(ふさ)は西施に溺れ、ついには越に滅ぼされてしまいます。
呉が滅んだのは西施によるという説に対して、ならば越が滅んだのは誰のせいかと問いかけ、王朝の興亡には命運というものがあると詠います。
西施 西施
家国興亡自有時 家国(かこく)の興亡 自(おのず)から時(とき)有り
呉人何苦進西施 呉人(ごひと) 何ぞ西施を進むるを苦しむ
西施若解傾呉国 西施(せいし) 若(も)し解(よ)く呉国(ごこく)を傾くれば
越国亡来又是誰 越国(えつこく)の亡びしは 又(ま)た是(こ)れ誰(た)ぞ
⊂訳⊃
国家の興亡には 時の趨勢というものがある
西施のために 呉人はなんと苦しんだことか
もしも西施が 呉を滅ぼしたのであれば
越が滅んだのは 誰のせいだろう
⊂ものがたり⊃ 詩題の「西施」は春秋呉越興亡の美女です。詩もわかりやすく、唐が滅んだあとの晩年の作でしょう。
西施の説話は後漢の趙曄(ちょうよう)『呉越春秋』に基づくもので、呉に敗れた越王勾践(こうせん)が西施を呉に献上しました。呉王夫差(ふさ)は西施に溺れ、ついには越に滅ぼされてしまいます。
呉が滅んだのは西施によるという説に対して、ならば越が滅んだのは誰のせいかと問いかけ、王朝の興亡には命運というものがあると詠います。