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ティェンタオの自由訳漢詩 1866

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 初唐6ー王積
   独坐              独り坐す

  問君樽酒外     君に問う  樽酒(そんしゅ)の外(そと)
  独坐更何須     独坐(どくざ)  更(さら)に何をか須(もち)いん
  有客談名理     客の名理(めいり)を談(だん)ずる有り
  無人索地租     人の地租(ちそ)を索(もと)むる無し
  三男婚令族     三男  令族(れいぞく)に婚(こん)し
  五女嫁賢夫     五女  賢夫(けんぷ)に嫁(か)す
  百年随分了     百年  分(ぶん)に随って了(おわ)る
  未羨陟方壺     未(いま)だ方壺(ほうこ)に陟(のぼ)るを羨(うらや)まず

  ⊂訳⊃
          ひとり坐して   酒さえ飲めれば
          ほかに何をか  求めることがあろう
          論理を語る   客はあっても
          地租を求める  役人は来ない
          三人の息子は  家柄の娘をもらい
          五人の娘は   勝れた夫に嫁入った
          分に従って    一生を終われば
          仙人の世界を  羨ましがることもない


 ⊂ものがたり⊃ 詩は五言律詩のおもむきを備えており、中四句二聯の対句を前後の二句で囲んでいます。内容的に陶淵明の影響が顕著であり、子女の婚姻に触れているのも隠遁者ならではの率直さです。
 結びの「百年」は一生の慣用の言い方であり、「方壺」は渤海の東にあるとされている島の名で、神仙の棲む世界と考えられていました。諧謔の奥に枯淡の境地を秘めた作品と思います。

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