初唐6ー王積
独坐 独り坐す
問君樽酒外 君に問う 樽酒(そんしゅ)の外(そと)
独坐更何須 独坐(どくざ) 更(さら)に何をか須(もち)いん
有客談名理 客の名理(めいり)を談(だん)ずる有り
無人索地租 人の地租(ちそ)を索(もと)むる無し
三男婚令族 三男 令族(れいぞく)に婚(こん)し
五女嫁賢夫 五女 賢夫(けんぷ)に嫁(か)す
百年随分了 百年 分(ぶん)に随って了(おわ)る
未羨陟方壺 未(いま)だ方壺(ほうこ)に陟(のぼ)るを羨(うらや)まず
⊂訳⊃
ひとり坐して 酒さえ飲めれば
ほかに何をか 求めることがあろう
論理を語る 客はあっても
地租を求める 役人は来ない
三人の息子は 家柄の娘をもらい
五人の娘は 勝れた夫に嫁入った
分に従って 一生を終われば
仙人の世界を 羨ましがることもない
⊂ものがたり⊃ 詩は五言律詩のおもむきを備えており、中四句二聯の対句を前後の二句で囲んでいます。内容的に陶淵明の影響が顕著であり、子女の婚姻に触れているのも隠遁者ならではの率直さです。
結びの「百年」は一生の慣用の言い方であり、「方壺」は渤海の東にあるとされている島の名で、神仙の棲む世界と考えられていました。諧謔の奥に枯淡の境地を秘めた作品と思います。
独坐 独り坐す
問君樽酒外 君に問う 樽酒(そんしゅ)の外(そと)
独坐更何須 独坐(どくざ) 更(さら)に何をか須(もち)いん
有客談名理 客の名理(めいり)を談(だん)ずる有り
無人索地租 人の地租(ちそ)を索(もと)むる無し
三男婚令族 三男 令族(れいぞく)に婚(こん)し
五女嫁賢夫 五女 賢夫(けんぷ)に嫁(か)す
百年随分了 百年 分(ぶん)に随って了(おわ)る
未羨陟方壺 未(いま)だ方壺(ほうこ)に陟(のぼ)るを羨(うらや)まず
⊂訳⊃
ひとり坐して 酒さえ飲めれば
ほかに何をか 求めることがあろう
論理を語る 客はあっても
地租を求める 役人は来ない
三人の息子は 家柄の娘をもらい
五人の娘は 勝れた夫に嫁入った
分に従って 一生を終われば
仙人の世界を 羨ましがることもない
⊂ものがたり⊃ 詩は五言律詩のおもむきを備えており、中四句二聯の対句を前後の二句で囲んでいます。内容的に陶淵明の影響が顕著であり、子女の婚姻に触れているのも隠遁者ならではの率直さです。
結びの「百年」は一生の慣用の言い方であり、「方壺」は渤海の東にあるとされている島の名で、神仙の棲む世界と考えられていました。諧謔の奥に枯淡の境地を秘めた作品と思います。