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ティェンタオの自由訳漢詩 2148

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 晩唐19ー羅隠
    人日見新安             人日  新安道中
    道中梅花               に梅花を見る

  長途酒醒臘春寒   長途(ちょうと)   酒(さけ)醒(さ)めて臘春(ろうしゅん)寒し
  嫩蘂香英撲馬鞍   嫩蘂(どんずい)  香英(こうえい)  馬鞍(ばあん)を撲(う)つ
  不上寿陽公主面   寿陽公主(じゅようこうしゅ)の面(おもて)に上らず
  憐君開得却無端   憐(あわ)れむ   君が開き得て却(かえ)って端(はし)無きを

  ⊂訳⊃
          旅の途中で酔いも醒め  蠟梅のころの春はまだ寒い

          みれば軟らかな蕊     いい香りが馬上にただよう

          花弁は公主の額に落ち  梅花妝とならなければ

          せっかく咲いても      無駄咲きというものだ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「人日」(じんじつ)は正月七日のことで、「新安」(河南省澠池県)を通っているとき蠟梅の咲いているのを見て詠ったものです。「臘春」は早春、蠟梅の花の咲くころです。承句の「嫩蘂 香英 馬鞍を撲つ」は簡潔に描かれていて力があります。
 「寿陽公主」は南朝宋の武帝の皇女で、ある春、含章殿で寝ているとき梅の花びらが散って額の上に張り付きました。そこから梅の花びらを額に描く「梅花妝」(ばいかしょう)の化粧が始まったといいます。
 自注によると「其の年、徐寇(じょこう)を以て挙(きょ)停(や)む」とあるので、龐(ほうくん)の乱があった咸通九年(868)のことでしょう。乱のために科挙の試験は中止になり、せっかく咲いても無駄咲きではないかと、受験できない憾みを蠟梅の花に託すのです。

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