Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2145

$
0
0
 晩唐16ー魚玄機
     秋怨                 秋怨

  自歎多情是足愁   自(みずか)ら歎く   多情(たじょう)は是(こ)れ足愁(そく  しゅう)なるを
  況当風月満庭秋   況(いわ)んや風月  満庭(まんてい)の秋に当たるをや
  洞房偏与更声近   洞房(どうぼう)  偏(ひと)えに更声(こうせい)に近し
  夜夜燈前欲白頭   夜夜(よよ)    燈前(とうぜん)  白頭(はくとう)ならんと欲す

  ⊂訳⊃
          自らなげく  私の思いは愁いに満ちていると

          清風と明月  庭一杯の秋になれば愁いはまさる

          閨の近くで  時刻を報せる太鼓の音

          灯火の前で  夜ごと老いを見詰める私です


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「秋怨」(しゅうえん)は秋の怨み。秋はものごとの衰える季節ですので、わが身の衰えを嘆きます。李億と別れたあとの心情を詠うものでしょう。「多情」は浮気っぽいという意味ではなく多感、心に思うことが多いということです。「足愁」は愁いに足る、足るは満ちることを意味します。
 「風月」は清風と明月で、秋の象徴です。それが「満庭」(庭いっぱい)の秋に重なります。「洞房」は女性の寝室、「更声」は時刻を知らせる太鼓の音で、孤独な夜の象徴です。魚玄機は二十五歳で死罪になっていますので、白髪には遠いはずです。だから愁いの深さを老いに喩えて訴えるのでしょう。 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>