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ティェンタオの自由訳漢詩 2143

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 晩唐14ー皇甫松
     採蓮子                採蓮子

  菡萏香連十頃陂   菡萏(かんたん)  香(かおり)は連なる十頃(じっけい)の陂(は)
  小姑貪戲採蓮遅   小姑(しょうこ)   戲(ぎ)を貪(むさぼ)りて採蓮(さいれん)遅し
  晩来弄水船頭湿   晩来(ばんらい)  水を弄(ろう)して船頭湿(うるお)い
  更脱紅裙裹鴨児   更に紅裙(こうくん)を脱して鴨児(おうじ)を裹(つつ)む

  ⊂訳⊃
          蓮の花のかおりが  湖面いっぱいに広がり

          少女は遊びに夢中 仕事ははかどらない

          日暮れになるまで  水と戯れて船頭も濡れ

          紅い裙をはずして  子鴨をつかまえた


 ⊂ものがたり⊃ 皇甫松(こうほしょう)は生没年不詳。睦州新安(浙江省建徳県)の人といいます。韓愈の高弟皇甫(こうほしょく)の子で、大中年間に詩名がありました。詩題の「採蓮子」(さいれんし)は蓮採り人の意味ですが、詠われているのは「小姑」(小女)のようです。
 「菡萏」は蓮の花、「十頃」は五十六アール、「陂」は自然にできた湖沼をさし、人工のものを池といいます。「裙」は裳裾、スカートのことですが、「更に紅裙を脱して鴨児を裹む」の一句は意味深長です。採蓮摘菱(さいれんてきりょう)は若者の恋の場でもありました。

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