晩唐12ー劉賀
牧童 牧童
牧童見客拝 牧童(ぼくどう) 客(かく)を見て拝すれば
山果懐中落 山果(さんか) 懐中(かいちゅう)より落つ
尽日駆牛帰 尽日(じんじつ) 牛を駆(か)って帰る
前渓風雨悪 前渓(ぜんけい) 風雨(ふうう)悪(あ)し
⊂訳⊃
牧童が 旅の私にお辞儀をすると
懐から 山の木の実がころげ出る
一日中 牛を追って帰るところだ
むこうの谷間に あやしげな空模様
⊂ものがたり⊃ 劉賀(りゅうが:822ー?)は出生地不詳です。大中六年(852)に三十一歳で進士に及第し、宣宗に自作の楽府詩十章を献じたといいます。
起句の「客」は旅人のことですが、作者自身でしょう。牧童がお辞儀をした途端、ふところから山の木の実が転げ出ます。ほほ笑ましい情景です。しかし、結句に「前渓 風雨悪し」とあり、「風雨」は嵐(和製漢字)を意味します。牧歌的な山里に動乱が近づいているのを感じさせる詩です。
牧童 牧童
牧童見客拝 牧童(ぼくどう) 客(かく)を見て拝すれば
山果懐中落 山果(さんか) 懐中(かいちゅう)より落つ
尽日駆牛帰 尽日(じんじつ) 牛を駆(か)って帰る
前渓風雨悪 前渓(ぜんけい) 風雨(ふうう)悪(あ)し
⊂訳⊃
牧童が 旅の私にお辞儀をすると
懐から 山の木の実がころげ出る
一日中 牛を追って帰るところだ
むこうの谷間に あやしげな空模様
⊂ものがたり⊃ 劉賀(りゅうが:822ー?)は出生地不詳です。大中六年(852)に三十一歳で進士に及第し、宣宗に自作の楽府詩十章を献じたといいます。
起句の「客」は旅人のことですが、作者自身でしょう。牧童がお辞儀をした途端、ふところから山の木の実が転げ出ます。ほほ笑ましい情景です。しかし、結句に「前渓 風雨悪し」とあり、「風雨」は嵐(和製漢字)を意味します。牧歌的な山里に動乱が近づいているのを感じさせる詩です。