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ティェンタオの自由訳漢詩 2141

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 晩唐12ー劉賀
    牧童              牧童

  牧童見客拝     牧童(ぼくどう)  客(かく)を見て拝すれば
  山果懐中落     山果(さんか)   懐中(かいちゅう)より落つ
  尽日駆牛帰     尽日(じんじつ)  牛を駆(か)って帰る
  前渓風雨悪     前渓(ぜんけい) 風雨(ふうう)悪(あ)し

  ⊂訳⊃
          牧童が  旅の私にお辞儀をすると

          懐から  山の木の実がころげ出る

          一日中  牛を追って帰るところだ

          むこうの谷間に  あやしげな空模様


 ⊂ものがたり⊃ 劉賀(りゅうが:822ー?)は出生地不詳です。大中六年(852)に三十一歳で進士に及第し、宣宗に自作の楽府詩十章を献じたといいます。
 起句の「客」は旅人のことですが、作者自身でしょう。牧童がお辞儀をした途端、ふところから山の木の実が転げ出ます。ほほ笑ましい情景です。しかし、結句に「前渓 風雨悪し」とあり、「風雨」は嵐(和製漢字)を意味します。牧歌的な山里に動乱が近づいているのを感じさせる詩です。

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