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ティェンタオの自由訳漢詩 2140

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 晩唐11ー曹鄴
     官倉鼠               官倉の鼠

  官倉老鼠大如斗   官倉(かんそう)の老鼠(ろうそ)  大(だい)なること斗(と)の如し
  見人開倉亦不走   人の倉(くら)を開くを見るも  亦(ま)た走らず
  健児無糧百姓飢   健児(けんじ)  糧(かて)無く  百姓(ひゃくせい)飢うるに
  誰遺朝朝入君口   誰(たれ)か   朝朝(ちょうちょう)  君の口に入ら遺(し)むる

  ⊂訳⊃
          官の倉庫のお鼠は  肥えて一斗桝のようだ

          扉が開いても     逃げようともしない

          兵士に食糧がなく  民はみな飢えているのに

          誰が毎日食べ物を  口に入れてやっているのか


 ⊂ものがたり⊃ 晩唐といっても大中年間(847ー859)はまだ、詩はいきいきと息づいていました。この時代に活躍した詩人に曹鄴、劉駕、于武陵、皇甫松、女流の魚玄機がいます。
 曹鄴(そうぎょう:816?ー875?)は出生地不詳。宣宗の大中四年(850)に三十五歳くらいで進士に及第します。太常博士、詞部郎中をへて洋州刺史になり、僖宗の乾符二年(875)ころ亡くなりました。享年六十歳くらいです。
 詩題の「官倉」は国営の倉庫、米蔵でしょう。古来鼠は貪欲な代官に喩えられ、ここでも国家に寄生する官吏をいいます。「老鼠」の老は尊称で、皮肉を込めて尊称でよぶのです。兵隊も民衆も飢えているのに、官吏だけが一斗桝のように肥えているのは誰のせいかと政府を批判します。ここには諷諭詩の伝統が、露骨な口吻で生きています。

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