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ティェンタオの自由訳漢詩 2137

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 晩唐8ー温庭筠
     瑤瑟怨               瑤瑟怨

  冰簟銀床夢不成   冰簟(ひょうてん)  銀床(ぎんしょう)  夢(ゆめ)成らず
  碧天如水夜雲軽   碧天(へきてん)   水の如く  夜雲(やうん)軽(かろ)し
  雁声遠過瀟湘去   雁声(がんせい)  遠く瀟湘(しょうしょう)へ過(わた)って去る
  十二楼中月自明   十二楼中(じゅうにろうちゅう) 月 自(おのず)から明らかなり

  ⊂訳⊃
          涼しい竹蓆  豪華な寝台  眠れない夜

          夜空は水のように澄んで  雲は軽やか

          ひと声 雁は鳴いて  遥かな瀟湘の地へ向かうのだろうか

          高楼に独り住む身を  月は無情に照らすだけ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「瑤瑟怨」(ようしつえん)は楽府題にならう題で、玉飾りの瑟に託した怨情という意味でしょう。「簟」は竹むしろ、「銀床」は銀かざりのある寝台で、晴れた夏の夜のことです。女性は眠られない夜を過ごしています。
 そのとき雁が一声鳴いて飛んでゆきました。「瀟湘」は洞庭湖の南一帯のことで、そこにある衝山は渡雁の南限とされていました。そこに思う人がいるという想定でしょう。「十二楼」は崑崙山にあるとされる十二層の玉楼のことですが、ここでは女性が住んでいる家を雅していうものです。ひとり寝の部屋を月が照らすだけだと閨怨の情で結びます。

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