晩唐8ー温庭筠
瑤瑟怨 瑤瑟怨
冰簟銀床夢不成 冰簟(ひょうてん) 銀床(ぎんしょう) 夢(ゆめ)成らず
碧天如水夜雲軽 碧天(へきてん) 水の如く 夜雲(やうん)軽(かろ)し
雁声遠過瀟湘去 雁声(がんせい) 遠く瀟湘(しょうしょう)へ過(わた)って去る
十二楼中月自明 十二楼中(じゅうにろうちゅう) 月 自(おのず)から明らかなり
⊂訳⊃
涼しい竹蓆 豪華な寝台 眠れない夜
夜空は水のように澄んで 雲は軽やか
ひと声 雁は鳴いて 遥かな瀟湘の地へ向かうのだろうか
高楼に独り住む身を 月は無情に照らすだけ
⊂ものがたり⊃ 詩題の「瑤瑟怨」(ようしつえん)は楽府題にならう題で、玉飾りの瑟に託した怨情という意味でしょう。「簟」は竹むしろ、「銀床」は銀かざりのある寝台で、晴れた夏の夜のことです。女性は眠られない夜を過ごしています。
そのとき雁が一声鳴いて飛んでゆきました。「瀟湘」は洞庭湖の南一帯のことで、そこにある衝山は渡雁の南限とされていました。そこに思う人がいるという想定でしょう。「十二楼」は崑崙山にあるとされる十二層の玉楼のことですが、ここでは女性が住んでいる家を雅していうものです。ひとり寝の部屋を月が照らすだけだと閨怨の情で結びます。
瑤瑟怨 瑤瑟怨
冰簟銀床夢不成 冰簟(ひょうてん) 銀床(ぎんしょう) 夢(ゆめ)成らず
碧天如水夜雲軽 碧天(へきてん) 水の如く 夜雲(やうん)軽(かろ)し
雁声遠過瀟湘去 雁声(がんせい) 遠く瀟湘(しょうしょう)へ過(わた)って去る
十二楼中月自明 十二楼中(じゅうにろうちゅう) 月 自(おのず)から明らかなり
⊂訳⊃
涼しい竹蓆 豪華な寝台 眠れない夜
夜空は水のように澄んで 雲は軽やか
ひと声 雁は鳴いて 遥かな瀟湘の地へ向かうのだろうか
高楼に独り住む身を 月は無情に照らすだけ
⊂ものがたり⊃ 詩題の「瑤瑟怨」(ようしつえん)は楽府題にならう題で、玉飾りの瑟に託した怨情という意味でしょう。「簟」は竹むしろ、「銀床」は銀かざりのある寝台で、晴れた夏の夜のことです。女性は眠られない夜を過ごしています。
そのとき雁が一声鳴いて飛んでゆきました。「瀟湘」は洞庭湖の南一帯のことで、そこにある衝山は渡雁の南限とされていました。そこに思う人がいるという想定でしょう。「十二楼」は崑崙山にあるとされる十二層の玉楼のことですが、ここでは女性が住んでいる家を雅していうものです。ひとり寝の部屋を月が照らすだけだと閨怨の情で結びます。