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ティェンタオの自由訳漢詩 2133

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 晩唐4ー陳陶
     隴西行                隴西行

  誓掃匈奴不顧身   誓って匈奴(きょうど)を掃(はら)わんとして身を顧(かえり)みず
  五千貂錦喪胡塵   五千の貂錦(ちょうきん)  胡塵(こじん)に喪(うしな)う
  可憐無定河辺骨   憐(あわ)れむべし  無定河辺(むていかへん)の骨
  猶是春閨夢裏人   猶(な)お是(こ)れ  春閨(しゅんけい)夢裏(むり)の人

  ⊂訳⊃
          断じて匈奴を追い払おうと  身命を顧みず

          五千の将兵は  胡地の塵となる

          憐れなるかな  無定河のほとりの骨は

          故郷の若妻の  夢に現れる人なのだ


 ⊂ものがたり⊃ 陳陶(ちんとう)は生没年不詳です。剣浦(福建省)の人といいます。武宗の会昌元年(841)ころに上京し、進士に応じましたが及第せず、宣宗の大中年間(847ー860)、乱を避けて洪州西山(江西省南昌市)にゆき、神仙の術を学んだといいます。
 詩題の「隴西」(ろうせい)は隴山の西、西域遠征の詩です。「貂錦」は将兵の身につけるもので、将兵を意味します。「無定河」は国境を流れる川で、戦死した兵は川のほとりで白骨と化しています。だが、それらの骨は、故郷で帰りを待っている若妻の夢に現れる人の骨なのだと詠うのです。
 盛唐の辺塞詩の流れをくむ西方遠征の詩も、夢に現れる人の白骨の詩になっています。 

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