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ティェンタオの自由訳漢詩 2132

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 晩唐3ー許渾
     秋 思               秋 思

  樹西風枕簟秋   樹(きじゅ)の西風(せいふう)  枕簟(ちんてん)の秋
  楚雲湘水憶同遊   楚雲(そうん)  湘水(しょうすい)  同遊(どうゆう)を憶(おも)う
  高歌一曲掩明鏡   高歌一曲(こうかいっきょく)  明鏡(めいきょう)を掩(おお)う
  昨日少年今白頭   昨日(さくじつ)の少年  今  白頭(はくとう)

  ⊂訳⊃
          庭の樹に吹く西の風  枕辺に秋がしのび寄る

          楚にわく雲よ湘水よ  かつての日々を想い出す

          高らかに歌を詠うも  鏡の蓋は閉じておこう

          昨日までの若者は   いまや白髪の翁なのだ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「秋思」(しゅうし)は秋の思い、初秋の感慨に人生の秋を重ねます。「樹」は崑崙山の北に生える神話の木で、ここでは樹木の美称です。「枕簟」は枕と竹で編んだ筵のことで、楚地の夏を思わせます。と同時に親しい女性との繋がりも連想させます。「湘水」は洞庭湖にそそぐ川で、「楚雲 湘水」と楚地の想い出に呼びかけます。起承の対句はみごとに決まって、名句といえるでしょう。
 「同遊」は共に遊んだ昔の意味ですが、相手は女性のようです。老いて声高らかに一曲を歌いますが、かつての若者もいまは白髪頭、鏡の蓋は閉じて見ないようにしようと詠います。なお「少年」は中国では二十代のことで、十代は弱年といいます。だから「若者」と訳しました。

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