Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2123

$
0
0
 中唐120ー劉禹錫
    金陵五題              金陵五題
    石頭城                石頭城

  山囲故国周遭在   山は故国(ここく)を囲んで周遭(しゅうそう)として在り
  潮打空城寂莫回   潮(しお)は空城(くうじょう)を打って寂莫(せきばく)として回(かえ)る
  淮水東辺旧時月   淮水東辺(わいすいとうへん)  旧時(きゅうじ)の月
  夜深還過女牆来   夜深くして還(ま)た女牆(じょしょう)を過ぎて来たる

  ⊂訳⊃
          山は古都をめぐって  今もつらなり

          波は城壁に当たって  寂しげに返る

          秦淮河の東の辺りに  昔と変わらぬ月が出て

          夜更けて城壁の垣を越え  城内を照らす


 ⊂ものがたり⊃ 小題の「石頭城」(せきとうじょう)は三国呉の孫権(そんけん)が赤壁の戦のあとに築いた古城で、建康城の要害でした。「故国」は古い都。建康城は周囲を山に囲まれています。石頭城の西壁は長江に接しており、もはや都城でなくなった城壁を長江の波が洗っています。
 「淮水」は建康城の南を流れる秦淮河(しんわいが)のことで、その東側から昔と変わらぬ月が昇り、城壁の「女牆」(ひめ垣)を越えて城内を照らすと詠います。前半は石頭城の寂れたようすを描き、後半はは月は変わらず城壁の上に昇ると、悠久の時の流れを描いて栄華の無常を詠嘆するのです。        

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>