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ティェンタオの自由訳漢詩 2122

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 中唐119ー劉禹錫
   金陵懐古             金陵懐古

  潮満冶城渚     潮(しお)は冶城(やじょう)の渚(なぎさ)に満ち
  日斜征虜亭     日(ひ)は征虜亭(せいりょてい)に斜めなり
  蔡洲新草緑     蔡洲(さいしゅう)の新草(しんそう)は緑にして
  幕府旧烟青     幕府(ばくふ)の旧烟(きゅうえん)は青し
  興廃由人事     興廃(こうはい)は人事(じんじ)に由(よ)り
  山川空地形     山川(さんせん)は地形に空(むな)し
  後庭花一曲     後庭花(こうていか)の一曲
  幽怨不堪聴     幽怨(ゆうえん)  聴くに堪(た)えず

  ⊂訳⊃
          江水は  金陵城の渚に満ち
          夕陽は  征虜亭を斜めに照らす
          蔡洲の草は  新緑に映え
          幕府山に   霞は青く立ちこめる
          世の興亡は  人によって起こり
          地形は勝れていても  山川はむなしい
          玉樹後庭花の一曲には
          聴くに堪えない怨みがある


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「金陵」(きんりょう)は南朝の都建康の雅称です。詩は前後二段に分かれ、前半四句で金陵城を懐古します。「冶城」は三国呉の金陵城にあった武器廠のことですが、ここでは城そのものを指しています。「征虜亭」は玄武湖の北にあり、征虜将軍謝石(しゃせき)の客舎のことです。
 「蔡洲」は蘇峻(そしゅん)の乱を鎮圧するために東晋の水軍が終結したところ。「幕府」は山の名で、王導(おうどう)が幕府をひらき軍隊を駐屯させた山といいます。以上はいずれも六朝時代の金陵の史跡で、歴史を知る者の心に懐旧の情を起こさせます。
 後半は作者の感懐です。王朝の興亡は人によって決まり、地勢の利は何の役にも立たないと詠います。「後庭花」は南朝陳の後主陳叔宝(ちんしゅくほう)がつくった詩「玉樹後庭花」のことで、亡国の歌として有名でした。「幽怨」は胸中の怨み、玉樹後庭花には聴くに堪えない怨みがこもっていると詠うのです。 

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