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ティェンタオの自由訳漢詩 2118

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 中唐115ー劉禹錫
   元和十年自朗州        元和十年 朗州より召さ
   召至京戲贈看花        れて京に至り 戲れに花
   諸君子              を看る諸君子に贈る

  紫陌紅塵払面来   紫陌(しはく)の紅塵(こうじん)  面(おもて)を払って来たる
  無人不道看花回   人の花を看(み)て回(かえ)ると道(い)わざるは無し
  玄都観裏桃千樹   玄都観裏(げんとかんり)     桃千樹(ももせんじゅ)
  尽是劉郎去後栽   尽(ことごと)く是(こ)れ劉郎(りゅうろう)が去りし後に栽(う)う

  ⊂訳⊃
          都大路の風塵が  面と向かって吹いてくる

          どこを向いても   花見の客でいっぱいだ

          玄都観の境内に  花咲く桃は一千樹

          すべては劉郎が  いなくなってから植えたもの


 ⊂ものがたり⊃ 都に帰ってきた劉禹錫は、十年前とすっかり様変わりした朝廷を目にします。ときに長安の二月、桃の花咲く季節です。都大路は花見の人で賑わっており、「面を払って来たる」のは高官の車のたてる土埃でしょう。
 「玄都観」は道教の寺院ですが、ここでは宮廷の暗喩として用いられています。玄都観の境内には仙桃(せんとう)が植えられ、その美しさは紅霞のようだといい、その桃の木は「劉郎」がいなくなってから植えたものだと詠います。
 劉郎は「劉晨(りゅうしん) 天台に入る」の説話を引くもので、自分の姓を懸けています。いま宮中でときめいている役人はみな、自分がいなくなってから時を得た連中だと貶すのです。劉禹錫はかなり気の強い人物であったようです。
 この詩が当局の耳にはいって劉禹錫の再貶がきまったと伝える稗史もありますが、再貶になったのは永貞の司馬の生き残り全員です。

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