中唐114ー劉禹錫
元和甲午歳詔書 元和甲午の歳 詔書ありて
尽徴江湘逐客余 尽く江湘の逐客を徴す 余
自武陵赴京宿於 は武陵より京に赴かんとし
都亭有懐続来諸 て都亭に宿し 続来の諸君
君子 子を懐う有り
雲雨江湘起臥龍 雲雨江湘(うんうこうしょう) 臥龍(がりゅう)を起こす
武陵樵客躡仙蹤 武陵の樵客(しょうかく) 仙蹤(せんしょう)を躡(ふ)む
十年楚水楓林下 十年 楚水(そすい) 楓林(ふうりん)の下(もと)
今夜初聞長楽鐘 今夜(こんや)初めて聞く 長楽(ちょうらく)の鐘
⊂訳⊃
湘水の雲雨が 臥龍を起こす
武陵の樵が 宮中に召される
楚水楓林の下 十年間
今夜はじめて 長楽宮の鐘を聞く
⊂ものがたり⊃ 詩題の「元和甲午」(げんなきのえうま)は元和九年の干支ですので、逐客召還の詔書は九年末に発せられたのです。翌十年春、都に入る前夜の宿「都亭」で、つづいて上京してくる友人たちに詩を書き残しました。
「臥龍」は召還の詔書、ひいては天子をいいます。「武陵」は朗州の別名で、自分のことを「武陵の樵客」といっています。「仙蹤」は仙人の足跡で、宮中のことです。十年の間、楚地に流され楓(ふう)の林を見てすごしたが、「今夜初めて聞く 長楽の鐘」と詠嘆して見せます。
元和甲午歳詔書 元和甲午の歳 詔書ありて
尽徴江湘逐客余 尽く江湘の逐客を徴す 余
自武陵赴京宿於 は武陵より京に赴かんとし
都亭有懐続来諸 て都亭に宿し 続来の諸君
君子 子を懐う有り
雲雨江湘起臥龍 雲雨江湘(うんうこうしょう) 臥龍(がりゅう)を起こす
武陵樵客躡仙蹤 武陵の樵客(しょうかく) 仙蹤(せんしょう)を躡(ふ)む
十年楚水楓林下 十年 楚水(そすい) 楓林(ふうりん)の下(もと)
今夜初聞長楽鐘 今夜(こんや)初めて聞く 長楽(ちょうらく)の鐘
⊂訳⊃
湘水の雲雨が 臥龍を起こす
武陵の樵が 宮中に召される
楚水楓林の下 十年間
今夜はじめて 長楽宮の鐘を聞く
⊂ものがたり⊃ 詩題の「元和甲午」(げんなきのえうま)は元和九年の干支ですので、逐客召還の詔書は九年末に発せられたのです。翌十年春、都に入る前夜の宿「都亭」で、つづいて上京してくる友人たちに詩を書き残しました。
「臥龍」は召還の詔書、ひいては天子をいいます。「武陵」は朗州の別名で、自分のことを「武陵の樵客」といっています。「仙蹤」は仙人の足跡で、宮中のことです。十年の間、楚地に流され楓(ふう)の林を見てすごしたが、「今夜初めて聞く 長楽の鐘」と詠嘆して見せます。