中唐113ー劉禹錫
八月十五日夜翫月 八月十五日夜 月を翫ぶ
天将今夜月 天(てん)将(まさ)に今夜の月ならんとし
一遍洗寰嬴 一遍(いっぺん) 寰嬴(かんえい)を洗う
暑退九霄浄 暑(しょ)退(の)きて 九霄(きゅうしょう)浄(きよ)く
秋澄万景清 秋(あき)澄(す)みて 万景(ばんけい)清し
星辰譲光彩 星辰(せいしん) 光彩(こうさい)を譲(ゆず)り
風露発晶英 風露(ふうろ) 晶英(しょうえい)を発す
能変人間世 能(よ)く人間(じんかん)の世を変え
翛然是玉京 翛然(しゅくぜん)として是(こ)れ玉京(ぎょくきょう)
⊂訳⊃
今まさに 今夜の月が昇ろうとし
あまねく 天下を洗い清める
暑さは退き 天空は澄み
晴れ渡る秋 すべての物は清らか
星ぼしは 光をひそめ
置く露は 光を放つ
月の光は 人の世をつくり変え
おのずから 玉の都のようになる
⊂ものがたり⊃ 仲秋の明月の夜を描き、感想を述べます。「寰嬴」は天下、世界という意味で、月が天下を洗い清めると詠います。中四句二組の対句で月下の景をさらに詳しく描きます。「九霄」は高い空、「晶英」は輝く光のことです。
尾聯の二句は結びで、「翛然」は自在に変化するさま。月の光が人の世を変え、あたりは「玉京」(玉で造った都)のようになると詠います。
この作品も制昨年不明ですが、「能く人間(じんかん)の世を変え」に痛恨の思いがあり、「是れ玉京」は変革の理想、改革の希望を比喩的に詠っていると解されます。朗州貶謫のときの作かもしれません。
八月十五日夜翫月 八月十五日夜 月を翫ぶ
天将今夜月 天(てん)将(まさ)に今夜の月ならんとし
一遍洗寰嬴 一遍(いっぺん) 寰嬴(かんえい)を洗う
暑退九霄浄 暑(しょ)退(の)きて 九霄(きゅうしょう)浄(きよ)く
秋澄万景清 秋(あき)澄(す)みて 万景(ばんけい)清し
星辰譲光彩 星辰(せいしん) 光彩(こうさい)を譲(ゆず)り
風露発晶英 風露(ふうろ) 晶英(しょうえい)を発す
能変人間世 能(よ)く人間(じんかん)の世を変え
翛然是玉京 翛然(しゅくぜん)として是(こ)れ玉京(ぎょくきょう)
⊂訳⊃
今まさに 今夜の月が昇ろうとし
あまねく 天下を洗い清める
暑さは退き 天空は澄み
晴れ渡る秋 すべての物は清らか
星ぼしは 光をひそめ
置く露は 光を放つ
月の光は 人の世をつくり変え
おのずから 玉の都のようになる
⊂ものがたり⊃ 仲秋の明月の夜を描き、感想を述べます。「寰嬴」は天下、世界という意味で、月が天下を洗い清めると詠います。中四句二組の対句で月下の景をさらに詳しく描きます。「九霄」は高い空、「晶英」は輝く光のことです。
尾聯の二句は結びで、「翛然」は自在に変化するさま。月の光が人の世を変え、あたりは「玉京」(玉で造った都)のようになると詠います。
この作品も制昨年不明ですが、「能く人間(じんかん)の世を変え」に痛恨の思いがあり、「是れ玉京」は変革の理想、改革の希望を比喩的に詠っていると解されます。朗州貶謫のときの作かもしれません。