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ティェンタオの自由訳漢詩 2116

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 中唐113ー劉禹錫
   八月十五日夜翫月    八月十五日夜 月を翫ぶ

  天将今夜月     天(てん)将(まさ)に今夜の月ならんとし
  一遍洗寰嬴     一遍(いっぺん)  寰嬴(かんえい)を洗う
  暑退九霄浄     暑(しょ)退(の)きて  九霄(きゅうしょう)浄(きよ)く
  秋澄万景清     秋(あき)澄(す)みて  万景(ばんけい)清し
  星辰譲光彩     星辰(せいしん)  光彩(こうさい)を譲(ゆず)り
  風露発晶英     風露(ふうろ)   晶英(しょうえい)を発す
  能変人間世     能(よ)く人間(じんかん)の世を変え
  翛然是玉京     翛然(しゅくぜん)として是(こ)れ玉京(ぎょくきょう)

  ⊂訳⊃
          今まさに    今夜の月が昇ろうとし
          あまねく    天下を洗い清める
          暑さは退き  天空は澄み
          晴れ渡る秋  すべての物は清らか
          星ぼしは   光をひそめ
          置く露は    光を放つ
          月の光は   人の世をつくり変え
          おのずから  玉の都のようになる


 ⊂ものがたり⊃ 仲秋の明月の夜を描き、感想を述べます。「寰嬴」は天下、世界という意味で、月が天下を洗い清めると詠います。中四句二組の対句で月下の景をさらに詳しく描きます。「九霄」は高い空、「晶英」は輝く光のことです。
 尾聯の二句は結びで、「翛然」は自在に変化するさま。月の光が人の世を変え、あたりは「玉京」(玉で造った都)のようになると詠います。
 この作品も制昨年不明ですが、「能く人間(じんかん)の世を変え」に痛恨の思いがあり、「是れ玉京」は変革の理想、改革の希望を比喩的に詠っていると解されます。朗州貶謫のときの作かもしれません。

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