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ティェンタオの自由訳漢詩 2115

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 中唐112ー劉禹錫
   秋風引              秋風の引

  何処秋風至     何(いず)れの処(ところ)よりか秋風(しゅうふう)至り
  蕭蕭送雁羣     蕭蕭(しょうしょう)として雁群(がんぐん)を送る
  朝来入庭樹     朝来(ちょうらい)  庭樹(ていじゅ)に入り
  孤客最先聞     孤客(こきゃく)   最(もっと)も先(さき)に聞く

  ⊂訳⊃
          秋の風は  どこから吹いて来るのか

          寂しげに  むれ飛ぶ雁を送りやる

          明け方に  風が庭木を吹き抜けて

          ひとり旅の旅人は  誰よりも先にそれを聞く


 ⊂ものがたり⊃ 劉禹錫(りゅううしゃく:772ー842)は白居易や柳宗元と同時代人で、晩年には白居易と親しく交わります。中山(河北省定県)の人といいますが、代宗の大暦七年(772)に蘇州で生まれ、育ったといいます。
 貞元九年(793)に二十二歳で進士に及第し、同年の柳宗元らと王叔文(おうしゅくぶん)の政事改革に参画、永貞の政変に遭って朗州(湖南省常徳市)司馬に流されます。元和十年(815)正月、都に呼びもどされますが、三月には連州(広東省連県)刺史に再貶されます。ここまでは柳宗元と同じ運命です。
 詩題の「秋風の引(うた)」は楽府題です。劉禹錫の詩は制昨年不明のものが多いのですが、秋に飛ぶ雁は南へわたる雁であり、「孤客」の語に貶謫の身という感じがありますので、朗州へ赴く途中の作とも考えられます。
 夜明けに庭を吹き抜ける風の音を誰よりも先に聞きつけたのは、ほかでもないひとり旅の私なのだと、旅の侘びしさを詠います。

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