中唐110ー張祜
胡渭州 胡渭州
亭亭孤月照行舟 亭亭(ていてい)たる孤月(こげつ) 行舟(こうしゅう)を照らし
寂寂長江万里流 寂寂(せきせき)たる長江 万里に流る
郷国不知何処是 郷国(きょうこく)は知らず 何(いず)れの処か是(こ)れなる
雲山漫漫使人愁 雲山(うんざん) 漫漫(まんまん)として人をして愁(うれ)えしむ
⊂訳⊃
中天高く月は冴え ゆく舟を照らし
長江はさびしげに 万里のかなたへ流れていく
故郷は何れの方か 方角さえわからず
雲は山に連なって 旅の愁いに閉ざされる
⊂ものがたり⊃ 詩題の「胡渭州」(こいしゅう)は楽府題で、西方から伝えられた曲といいます。渭州(甘粛省隴西付近)の胡人が歌っていた民謡でしょう。詩は曲調だけを借りるもので内容とは関係ありません。
長江を旅する人(作者本人)の旅愁を詠う詩と解してもいいのですが、「郷国」には故郷のほか都長安という意味が含まれているかもしれません。都を離れて地方を流浪する身の寂しさを、長安の友人に伝える詩と考えることもできるでしょう。
胡渭州 胡渭州
亭亭孤月照行舟 亭亭(ていてい)たる孤月(こげつ) 行舟(こうしゅう)を照らし
寂寂長江万里流 寂寂(せきせき)たる長江 万里に流る
郷国不知何処是 郷国(きょうこく)は知らず 何(いず)れの処か是(こ)れなる
雲山漫漫使人愁 雲山(うんざん) 漫漫(まんまん)として人をして愁(うれ)えしむ
⊂訳⊃
中天高く月は冴え ゆく舟を照らし
長江はさびしげに 万里のかなたへ流れていく
故郷は何れの方か 方角さえわからず
雲は山に連なって 旅の愁いに閉ざされる
⊂ものがたり⊃ 詩題の「胡渭州」(こいしゅう)は楽府題で、西方から伝えられた曲といいます。渭州(甘粛省隴西付近)の胡人が歌っていた民謡でしょう。詩は曲調だけを借りるもので内容とは関係ありません。
長江を旅する人(作者本人)の旅愁を詠う詩と解してもいいのですが、「郷国」には故郷のほか都長安という意味が含まれているかもしれません。都を離れて地方を流浪する身の寂しさを、長安の友人に伝える詩と考えることもできるでしょう。