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ティェンタオの自由訳漢詩 2097

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 中唐94ー柳宗元
   登柳州峨山        柳州の峨山に登る

  荒山秋日午     荒れた山  秋の日の午(まひる)
  独上意悠悠     独り上る  意(い)  悠悠(ゆうゆう)
  如何望郷処     如何(いかん)  郷(きょう)を望む処(ところ)
  西北是融州     西北は是(こ)れ融州(ゆうしゅう)

  ⊂訳⊃
          荒れた山の  秋の日の真昼どき

          ひとり登り   つきぬ思いに苛まれる

          どうだろう   故郷を望むこの場所は

          西北はるか  融州の町がある


 ⊂ものがたり⊃ 元和十一年(816)に長男周六が生まれ、一方、従弟の柳宗一が柳州を離れました。また、刺史としての仕事もあり、井戸を開鑿して住民の飲料水の不便を解消したりしています。ささやかではあっても実務に携わることによって、柳州が自分に与えられた生きる場所という諦念も生まれて来るのでした。故郷を思っても永州時代のような激しい心の葛藤は生じなくなるのでした。
 詩題の「峨山」(がざん)は柳州の西にある山で、山頂に鵞鳥の形をした岩があったところから鵞山とも呼ばれました。「荒山」とあるので岩山でしょう。元和十一年の秋、柳宗元は真昼の陽ざしをあびて山頂に立ちました。「悠悠」は『詩経』周南「関雎」の詩句を引くもので、思いが尽きないことの形容です。
 山頂から故郷の方角を望みますが、見えるのは「融州」(広西壮族自治区融県の西南)の町だけだと詠います。融州は柳州の北やや西寄りにあり、直線距離で約100kmほどです。長安ははるか1000kmのかなたにあり、故郷を思いみても、いまはただその隔たりを眺めるだけです。

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