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ティェンタオの自由訳漢詩 2096

 中唐93ー柳宗元
   柳州二月榕樹         柳州二月 榕樹落ち
   落尽偶題            尽くして偶々題す

  宦情羇思共悽悽   宦情(かんじょう) 羇思(きし)  共に悽悽(せいせい)
  春半如秋意転迷   春半(なか)ばなるに秋の如く  意(い)  転(うた)た迷う
  山城過雨百花尽   山城(さんじょう)の過雨(かう)  百花(ひゃくか)尽き
  榕葉満庭鶯乱啼   榕葉(ようよう)   庭に満ちて鶯は乱れ啼(な)く

  ⊂訳⊃
          官途の思い地方勤め ともに悲しく

          春の半ばというのに  秋のように心は滅入る

          山沿いの町に通り雨  ことごとく花は散り

          榕葉も庭に散り敷き  鶯はやたらと鳴いている


 ⊂ものがたり⊃ 柳州に着いたはじめのころ、僻遠の地への赴任を嘆いていた柳宗元の心境は次第に変化してゆきます。詩は柳州着任の翌年、元和十一年(816)春二月の作と見られています。
 「宦情」は役人としての心、「羇思」は旅(地方勤め)の思い、「悽悽」は傷み悲しむさまで、心は憂いに満ちています。春も半ばの季節というのに、秋のように揺れ動く心境です。転結の二句は、そうしたときの即目の情景で、柳州の町に通り雨が降り、花も散りつくしました。
 「榕葉」は南国特有の木「ガジュマル」の葉でしょう。その葉が庭一面に散り敷いて、鶯が「乱啼」、乱れ啼きます。この乱には耳障りなという否定の感情が含まれており、作者の荒れた心を貶謫の地の自然に映して見るような詩です。しかし、望郷の思いは永州時代のようにあからさまには詠われていません。

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