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ティェンタオの自由訳漢詩 2088

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 中唐85ー柳宗元
   春懐故園           春 故園を懐う

  九扈鳴已晩     九扈(きゅうこ)鳴くこと已(すで)に晩(おそ)く
  楚郷農事春     楚郷(そきょう)は農事(のうじ)春なり
  悠悠故池水     悠悠(ゆうゆう)たる故池(こち)の水
  空待灌園人     空(むな)しく園に灌(そそ)ぐ人を待つ

  ⊂訳⊃
          九扈の鳥が  いまごろ鳴いている

          楚の地では  春の農作業がまっさかりだ

          はるか彼方  古里の池の水は

          庭で空しく   水やる人を待っている


 ⊂ものがたり⊃ 「九扈」は不明ですが江南の野鳥でしょう。春の農作業のまっ盛りであるのを見ては長安西郊の荘園を思い出し、池の水は水を汲み上げて園地に注ぐ人を空しく待っているだろうと故郷への思いを馳せます。
 元和八年(814)の作品「囚山賦」(山に囚わるるの賦)に「……兕(じ)に匪(あら)ざるに吾れは柙(こう)せられ、豕(し)に匪ざるに吾れは牢(ろう)せらる。十年を積むも吾れを省る者莫(な)く、増々吾れを覆うに蓬蒿(ほうこう)を以てす」とあります。この賦ではもはや、永州の山々は貶謫の身を慰める山ではなく、自分を閉じこめる牢獄であり、怨みの対象となっています。

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