中唐78ー柳宗元
早梅 早梅
早梅発高樹 早梅(そうばい) 高き樹(き)に発(ひら)き
迥映楚天碧 迥(はる)かに楚天(そてん)の碧(あお)きに映ず
朔吹飄夜香 朔(きた)より吹きくるは夜の香りを飄(ただよ)わせ
繁霜滋暁白 繁(しげ)き霜は暁(あかつき)の白を滋(うるお)す
欲為万里贈 万里の贈(ぞう)を為(な)さんと欲するも
杳杳山水隔 杳杳(ようよう)として山水(さんすい)に隔てらる
寒英坐銷落 寒(つめ)たき英(はなびら)の坐(そぞ)ろに銷落(しょうらく)するに
何用慰遠客 何を用(も)ってか遠客(えんきゃく)を慰めん
⊂訳⊃
早咲きの梅が 高い木に咲き
遥かな空 楚天の碧に映えている
北の夜風が 梅の香をただよわせ
一面の霜は 明け方の白い花びらを潤おす
万里の彼方へ 送ろうと思うが
あまりに遠く 山や川に隔てられている
寒中の花は 思いのままに散りつくし
どうやって 遠来の客を慰めてくれるのか
⊂ものがたり⊃ 花木に託して望郷の思いを詠う詩も幾つかあります。「早梅」(そうばい)は制昨年不明ですが、このころの作品でしょう。早春のころ早咲きの梅を見て、その奥ゆかしい香り、清らかな花の白さに感動して都に送り届けたいと思います。
しかし、長安はあまりに遠く、梅の花は見る者の気持ちにおかまいなく散ってしまいます。「遠客」は柳宗元自身のことで、わたしの心をかき乱すだけならば、梅よ、咲いてくれるなと恨みをのべるのです。
早梅 早梅
早梅発高樹 早梅(そうばい) 高き樹(き)に発(ひら)き
迥映楚天碧 迥(はる)かに楚天(そてん)の碧(あお)きに映ず
朔吹飄夜香 朔(きた)より吹きくるは夜の香りを飄(ただよ)わせ
繁霜滋暁白 繁(しげ)き霜は暁(あかつき)の白を滋(うるお)す
欲為万里贈 万里の贈(ぞう)を為(な)さんと欲するも
杳杳山水隔 杳杳(ようよう)として山水(さんすい)に隔てらる
寒英坐銷落 寒(つめ)たき英(はなびら)の坐(そぞ)ろに銷落(しょうらく)するに
何用慰遠客 何を用(も)ってか遠客(えんきゃく)を慰めん
⊂訳⊃
早咲きの梅が 高い木に咲き
遥かな空 楚天の碧に映えている
北の夜風が 梅の香をただよわせ
一面の霜は 明け方の白い花びらを潤おす
万里の彼方へ 送ろうと思うが
あまりに遠く 山や川に隔てられている
寒中の花は 思いのままに散りつくし
どうやって 遠来の客を慰めてくれるのか
⊂ものがたり⊃ 花木に託して望郷の思いを詠う詩も幾つかあります。「早梅」(そうばい)は制昨年不明ですが、このころの作品でしょう。早春のころ早咲きの梅を見て、その奥ゆかしい香り、清らかな花の白さに感動して都に送り届けたいと思います。
しかし、長安はあまりに遠く、梅の花は見る者の気持ちにおかまいなく散ってしまいます。「遠客」は柳宗元自身のことで、わたしの心をかき乱すだけならば、梅よ、咲いてくれるなと恨みをのべるのです。