Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2081

 中唐78ー柳宗元
    早梅                早梅

  早梅発高樹     早梅(そうばい)  高き樹(き)に発(ひら)き
  迥映楚天碧     迥(はる)かに楚天(そてん)の碧(あお)きに映ず
  朔吹飄夜香     朔(きた)より吹きくるは夜の香りを飄(ただよ)わせ
  繁霜滋暁白     繁(しげ)き霜は暁(あかつき)の白を滋(うるお)す
  欲為万里贈     万里の贈(ぞう)を為(な)さんと欲するも
  杳杳山水隔     杳杳(ようよう)として山水(さんすい)に隔てらる
  寒英坐銷落     寒(つめ)たき英(はなびら)の坐(そぞ)ろに銷落(しょうらく)するに
  何用慰遠客     何を用(も)ってか遠客(えんきゃく)を慰めん

  ⊂訳⊃
          早咲きの梅が  高い木に咲き
          遥かな空     楚天の碧に映えている
          北の夜風が   梅の香をただよわせ
          一面の霜は   明け方の白い花びらを潤おす
          万里の彼方へ  送ろうと思うが
          あまりに遠く   山や川に隔てられている
          寒中の花は   思いのままに散りつくし
          どうやって    遠来の客を慰めてくれるのか


 ⊂ものがたり⊃ 花木に託して望郷の思いを詠う詩も幾つかあります。「早梅」(そうばい)は制昨年不明ですが、このころの作品でしょう。早春のころ早咲きの梅を見て、その奥ゆかしい香り、清らかな花の白さに感動して都に送り届けたいと思います。
 しかし、長安はあまりに遠く、梅の花は見る者の気持ちにおかまいなく散ってしまいます。「遠客」は柳宗元自身のことで、わたしの心をかき乱すだけならば、梅よ、咲いてくれるなと恨みをのべるのです。  

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>