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ティェンタオの自由訳漢詩 2080

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 中唐77ー柳宗元
     聞黄鸝              黄鸝を聞く       (後半六句)

  我今誤落千万山   我(わ)れ今  誤って千万山(せんまんざん)に落つ
  身同傖人不思還   身は傖人(そうひと)に同じくして還(かえ)るを思わず
  郷禽何事亦来此   郷(ふるさと)の禽(とり)よ  何事か亦(ま)た此(ここ)に来たり
  令我生心憶桑梓   我れをして桑梓(そうし)を憶(おも)う心を生ぜしむ
  閉声迴翅帰務速   声を閉じ翅(つばさ)を迴(かえ)して帰ること速きに務(つと)めよ
  西林紫椹行当熟   西の林の紫椹(ししん)は行々(ゆくゆく)当(まさ)に熟すべし

  ⊂訳⊃
          私はいま   誤って山の連なる果てに落ち
          楚の人に成り果て  帰りたいとも思わないのに
          故郷の鳥よ  どうしてここにやって来たのか
          ふる里を思う心をひき起こすのか
          鳴くのをやめて翼を翻し   はやく帰ってくれ
          長安の西の林の桑の実も  そろそろ熟れるころだろう


 ⊂ものがたり⊃ 後半六句、柳宗元の長安への思いは幻想の頂点で一転します。「我れ今 誤って千万山に落つ」と貶謫の身の現実にもどってしまいます。すでに「傖人」(田舎者)になってしまって都に帰りたいとも思っていないのに、黄鸝よ、お前はどうして「桑梓」(家郷)を思い出させるようなことをしてくれるのか、鳴くのはやめて早く故郷の園に帰ってくれと訴えます。「西林」は長安の西の林、柳家の荘園のあるあたりでしょう。西林の「紫椹」(桑の実)も熟したころだと促して、帰郷への思いをのべるのです。

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