中唐77ー柳宗元
聞黄鸝 黄鸝を聞く (後半六句)
我今誤落千万山 我(わ)れ今 誤って千万山(せんまんざん)に落つ
身同傖人不思還 身は傖人(そうひと)に同じくして還(かえ)るを思わず
郷禽何事亦来此 郷(ふるさと)の禽(とり)よ 何事か亦(ま)た此(ここ)に来たり
令我生心憶桑梓 我れをして桑梓(そうし)を憶(おも)う心を生ぜしむ
閉声迴翅帰務速 声を閉じ翅(つばさ)を迴(かえ)して帰ること速きに務(つと)めよ
西林紫椹行当熟 西の林の紫椹(ししん)は行々(ゆくゆく)当(まさ)に熟すべし
⊂訳⊃
私はいま 誤って山の連なる果てに落ち
楚の人に成り果て 帰りたいとも思わないのに
故郷の鳥よ どうしてここにやって来たのか
ふる里を思う心をひき起こすのか
鳴くのをやめて翼を翻し はやく帰ってくれ
長安の西の林の桑の実も そろそろ熟れるころだろう
⊂ものがたり⊃ 後半六句、柳宗元の長安への思いは幻想の頂点で一転します。「我れ今 誤って千万山に落つ」と貶謫の身の現実にもどってしまいます。すでに「傖人」(田舎者)になってしまって都に帰りたいとも思っていないのに、黄鸝よ、お前はどうして「桑梓」(家郷)を思い出させるようなことをしてくれるのか、鳴くのはやめて早く故郷の園に帰ってくれと訴えます。「西林」は長安の西の林、柳家の荘園のあるあたりでしょう。西林の「紫椹」(桑の実)も熟したころだと促して、帰郷への思いをのべるのです。
聞黄鸝 黄鸝を聞く (後半六句)
我今誤落千万山 我(わ)れ今 誤って千万山(せんまんざん)に落つ
身同傖人不思還 身は傖人(そうひと)に同じくして還(かえ)るを思わず
郷禽何事亦来此 郷(ふるさと)の禽(とり)よ 何事か亦(ま)た此(ここ)に来たり
令我生心憶桑梓 我れをして桑梓(そうし)を憶(おも)う心を生ぜしむ
閉声迴翅帰務速 声を閉じ翅(つばさ)を迴(かえ)して帰ること速きに務(つと)めよ
西林紫椹行当熟 西の林の紫椹(ししん)は行々(ゆくゆく)当(まさ)に熟すべし
⊂訳⊃
私はいま 誤って山の連なる果てに落ち
楚の人に成り果て 帰りたいとも思わないのに
故郷の鳥よ どうしてここにやって来たのか
ふる里を思う心をひき起こすのか
鳴くのをやめて翼を翻し はやく帰ってくれ
長安の西の林の桑の実も そろそろ熟れるころだろう
⊂ものがたり⊃ 後半六句、柳宗元の長安への思いは幻想の頂点で一転します。「我れ今 誤って千万山に落つ」と貶謫の身の現実にもどってしまいます。すでに「傖人」(田舎者)になってしまって都に帰りたいとも思っていないのに、黄鸝よ、お前はどうして「桑梓」(家郷)を思い出させるようなことをしてくれるのか、鳴くのはやめて早く故郷の園に帰ってくれと訴えます。「西林」は長安の西の林、柳家の荘園のあるあたりでしょう。西林の「紫椹」(桑の実)も熟したころだと促して、帰郷への思いをのべるのです。