Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2074

$
0
0
 中唐71ー柳宗元
   自衡陽移桂十余本      衡陽より桂十余本を移し
   植零陵所住精舎        零陵の住む所の精舎に植う    (後半八句)

  傾筐壅故壤     傾筐(けいきょう)  故壤(こじょう)を壅(ふさ)ぎ
  棲息期鸞鷟     棲息(せいそく)   鸞鷟(らんさく)を期(き)す
  路遠清涼宮     路(みち)遠し  清涼(せいりょう)の宮(みや)
  一雨悟無学     一たび雨ふれば学ぶこと無きを悟(さと)る
  南人始珍重     南人(なんじん)は始めて珍重(ちんちょう)せん
  微我誰先覚     我れ微(な)かりせば誰か先ず覚(さと)らん
  芳意不可伝     芳意(ほうい)   伝う可(べ)からず
  丹心徒自渥     丹心(たんしん)  徒(いたず)らに自(おのず)から渥(あつ)し

  ⊂訳⊃
          竹籠に土を詰めて持ちかえり
          住んでいる寺に植えて  鳳凰が飛んでくるようにしたい
          清涼宮への路は遠いが
          ひと雨降れば  みずからの力で伸びていく
          南国の人々は  これを珍重するようになるだろう
          私がいなかったら  誰がこの木に気づいたろうか
          木犀のよい香りは  言葉では伝えられない
          熱い思いを  心に噛み締めるばかりである


 ⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は、竹籠に土を詰めて木犀の幼木を持ち帰り、それを法華寺の境内に植えて「鸞鷟」(鳳凰の一種)が飛んで来るような聖なる場所にしたいと思うのです。「清涼宮」は不明ですが、桂の木が生えていたという伝承があったのでしょう。ここには都のイメージがあり、都への路は遠いが木犀には自力で繁茂する力があるので、ひと雨降れば元気に育つだろうと詠うのです。
 結びの四句では木犀が育ったあとのことを想像します。最後の二句で、木犀のよい香りを「芳意 伝う可からず」と詠い、みずからの憂国の思いに喩えて「丹心 徒らに自から渥し」といいます。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>