中唐66ー柳宗元
江雪 江雪
千山鳥飛絶 千山(せんざん) 鳥 飛ぶこと絶え
万径人蹤滅 万径(ばんけい) 人蹤(じんしょう) 滅(めっ)す
孤舟蓑笠翁 孤舟(こしゅう) 蓑笠(さりゅう)の翁(おう)
独釣寒江雪 独(ひと)り釣る 寒江(かんこう)の雪
⊂訳⊃
連なる山に 飛ぶ鳥の影は絶え
総ての径に 人の足跡は消え果てた
孤舟に独り 蓑笠の翁が糸をたれ
さむざむと 雪は川面に降っている
⊂ものがたり⊃ この詩は中国の詩のなかで有名なもののひとつです。柳宗元(りゅうそうげん)の詩のなかではもっとも人口に膾炙しています。北宋の蘇軾は、この詩を「殆(ほとん)ど天の賦する所」と絶賛しています。
詩は永州(湖南省零陵県)に貶謫されて八年をへた元和八年(813)冬の作と推定され、貶謫の無限の孤独、究極の寂寞の境地をしめしています。
詩題の「江雪」(こうせつ)は川面に降る雪。この詩には注釈を拒絶する厳しさがありますが、注釈家は仏教の経典の影響を指摘しています。また、雪景色を舞台としていることから、湖南の南端に位置する永州に似つかわしくないと、実景との関連を疑う意見もありますが、このことについては元和八年の柳宗元の文章に「二年冬、幸いに大いに雪ふり」という記述があり、元和二年(807)に永州で大雪を体験したことがわかっています。
永州でも雪が降ることがあったことは確かですが、雪中の江上で実際に「蓑笠の翁」を見たかどうかは不明です。翁は柳宗元自身の心象を投影したしたものとも考えられるのです。
江雪 江雪
千山鳥飛絶 千山(せんざん) 鳥 飛ぶこと絶え
万径人蹤滅 万径(ばんけい) 人蹤(じんしょう) 滅(めっ)す
孤舟蓑笠翁 孤舟(こしゅう) 蓑笠(さりゅう)の翁(おう)
独釣寒江雪 独(ひと)り釣る 寒江(かんこう)の雪
⊂訳⊃
連なる山に 飛ぶ鳥の影は絶え
総ての径に 人の足跡は消え果てた
孤舟に独り 蓑笠の翁が糸をたれ
さむざむと 雪は川面に降っている
⊂ものがたり⊃ この詩は中国の詩のなかで有名なもののひとつです。柳宗元(りゅうそうげん)の詩のなかではもっとも人口に膾炙しています。北宋の蘇軾は、この詩を「殆(ほとん)ど天の賦する所」と絶賛しています。
詩は永州(湖南省零陵県)に貶謫されて八年をへた元和八年(813)冬の作と推定され、貶謫の無限の孤独、究極の寂寞の境地をしめしています。
詩題の「江雪」(こうせつ)は川面に降る雪。この詩には注釈を拒絶する厳しさがありますが、注釈家は仏教の経典の影響を指摘しています。また、雪景色を舞台としていることから、湖南の南端に位置する永州に似つかわしくないと、実景との関連を疑う意見もありますが、このことについては元和八年の柳宗元の文章に「二年冬、幸いに大いに雪ふり」という記述があり、元和二年(807)に永州で大雪を体験したことがわかっています。
永州でも雪が降ることがあったことは確かですが、雪中の江上で実際に「蓑笠の翁」を見たかどうかは不明です。翁は柳宗元自身の心象を投影したしたものとも考えられるのです。