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ティェンタオの自由訳漢詩 1857

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 南北朝58ー歌謠
   敕勒歌         敕勒の歌

  敕勒川       敕勒(ちょくろく)の川
  陰山下       陰山(いんざん)の下(もと)
  天似穹廬      天は穹廬(きゅうろ)に似て
  籠蓋四野      四野(しや)を籠蓋(ろうがい)す
  天蒼蒼       天は蒼蒼(そうそう)たり
  野茫茫       野は茫茫(ぼうぼう)たり
  風吹草低      風吹き  草低(た)れ
  見牛羊       牛羊(ぎゅうよう)  見(あらわ)る

  ⊂訳⊃
          敕勒の民の水辺の土地
          遥かに連なる陰山の麓
          大空は穹廬のように
          大平原を覆い尽くす
          天空は蒼くひろがり
          平原はどこまでもつづく
          風が吹けば  靡く草
          牛や羊の群れが現れる


 ⊂ものがたり⊃ 「敕勒」は鮮卑敕勒族のことで、北斉の皇帝が士卒を激励するために敕勒族の民歌をトルコ系の武将斛律金(こくりつきん)に歌わせたという伝承があります。もと鮮卑語であったものを北斉の言葉に翻訳し、記録されたものと思われます。三言と四言の句が混じり合い、民歌の素朴な原形をとどめている歌謠です。
 「敕勒の川」は敕勒族が遊牧する草原をいい、川は水辺の土地のことです。その地は内蒙古自治区包頭市付近とされていますので、陰山山脈の南麓、黄河の大湾曲部の北になります。遊牧民の生活が誇らしげに詠われ、天を「穹廬」(パオ)に喩え、広々とした大草原とそこに吹く風、放牧の牛羊の群れを描いて爽やかです。


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