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ティェンタオの自由訳漢詩 2061

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 中唐58ー張籍
     秋思              秋思

  洛陽城裏見秋風   洛陽城裏  秋風(しゅうふう)を見る
  欲作家書意万重   家書(かしょ)を作らんと欲して  意(こころ)万重(ばんちょう)
  復恐怱怱説不尽   復(ま)た恐る   怱怱(そうそう)にして説いて尽くさざらんことを
  行人臨発又開封   行人(こうじん)  発するに臨んで又(ま)た封を開く

  ⊂訳⊃
          洛陽の街に  秋風が吹き

          便りを書こうとするが   つもる思いでいっぱいだ

          慌ただしく書いたので  言い足りぬことはなかろうかと

          旅人の出ていくきわに  また封をひらいて読みなおす


 ⊂ものがたり⊃ 張籍は任官して秘書郎、太常寺太祝、水部員外郎、主客郎中を歴任します。韓愈の推薦で国子博士に任じられ、国子司業に至ります。
 詩題の「秋思」(しゅうし)は秋の思い。「家書」は故郷への便りで、洛陽にいる作者が故郷に残している妻子に便りをするのでしょう。「行人」は旅人もしくは使者で、旅行者に託して私信を届けてもらうのです。
 故郷の方に行く人があると聞いて、あわてて書信をしたためたのでしょう。転句の「復た恐る 怱怱にして説いて尽くさざらんことを」に、作者の優しい心根がにじんでいます。

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