Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2060

$
0
0
 中唐57ー張籍
     涼州詞              涼州詞

  辺城暮雨雁飛低   辺城(へんじょう)の暮雨  雁(かり)飛ぶこと低く
  芦筍初生漸欲斉   芦筍(ろじゅん)初めて生じ漸(ようや)く斉(ひと)しからんと欲す
  無数鈴声遥過磧   無数の鈴声(れいせい)  遥かに磧(せき)を過ぐ
  応駄白練到安西   応(まさ)に白練(はくれん)を駄(はこ)びて安西(あんせい)に到るなるべし

  ⊂訳⊃
          国境の街に日暮れの雨  雁は低く飛んでゆき

          芦や筍は  新芽を伸ばして競い合う

          鈴の音が  遥かにゴビ砂漠を過ぎてゆく

          白い練絹を運んで  西域へゆくのであろう


 ⊂ものがたり⊃ 盛唐の「涼州詞」(りょうしゅうし)は辺塞詩を代表する詩題でした。しかし、中唐のこの時代になると辺塞に胡笛の声はなく、聞こえて来るのはキャラバンのラクダの首につけた鈴の音です。
 「磧」は石ころの原、ここではゴビ砂漠のことでしょう。すでに安西都護府は廃止されていましたが、「安西」という言葉だけが、西方・西域をしめす語として残っていました。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>