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ティェンタオの自由訳漢詩 2059

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 中唐56ー張籍
    哭孟寂              孟寂を哭す

  曲江院裏題名処   曲江(きょくこう)院裏(いんり)  名を題せし処(ところ)
  十九人中最年少   十九人中   最も年少(ねんしょう)
  今日風光君不見   今日の風光  君見えず
  杏花零落寺門前   杏花(きょうか)零落(れいらく)す  寺門(じもん)の前

  ⊂訳⊃
          曲江の寺院の壁は  共に名前を書いた場所
          十九人のその中で  君が一番若かった
          いま同じ景色の中  君の姿はもはやない
          寺院の門前に     杏子の花が散るばかり


 ⊂ものがたり⊃ 張籍(ちょうせき:766?ー830?)は和州烏江(安徽省和県)の人。韓愈に認められて門下になり、古文復興運動に参加しました。貞元十五年(799)に三十三歳で進士に及第しますが、喪にあって任官しませんでした。
 詩題の「孟寂」(もうせき)は経歴不詳。貞元十五年に張籍と同年で進士に及第した若者でしょう。春二月、科挙の合格者が発表されると、新進士は曲江の杏園で天子の饗宴を受けます。そのあと慈恩寺の大雁塔に上り、壁に自分の名前を書きつけました。孟寂はもっとも若い合格者でしたが、ほどなく亡くなってしまいました。孟寂死後の春、張籍は曲江の寺を訪れて亡き友を偲んだのです。

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