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ティェンタオの自由訳漢詩 2048

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 中唐45ー楊巨源
     折楊柳               折楊柳

  水辺楊柳麴塵糸   水辺(すいへん)の楊柳(ようりゅう)  麴塵(きくじん)の糸
  立馬煩君折一枝   馬を立て  君を煩(わずら)わして一枝(いっし)を折る
  惟有春風最相惜   惟(た)だ春風(しゅんぷう)の最も相惜(あいお)しむ有り
  殷勤更向手中吹   殷勤(いんぎん)に更に手中(しゅちゅう)に向かって吹く

  ⊂訳⊃
          岸の柳が  萌黄の枝をたらしている

          馬を停め  「すまぬが友よ ひと枝折ってくれないか」

          おりしも春風が  枝を持つ手に吹き入って

          ただひたすらに  別れを惜しむかのようだ


 ⊂ものがたり⊃ 楊巨源(ようきょげん:770?ー840?)は河中(山西省永済県)の人。貞元五年(789)に十九歳ほどで進士に及第し、太常博士、鳳翔少尹、国子司業、河中少尹などを歴任します。礼部郎中に至って開成五年(840)ころ七十歳くらいで引退し、翌年になくなりました。享年七十一歳くらいです。
 詩題の「折楊柳」(せつようりゅう)は楽府題で、別れの歌です。起句の「麴塵」は麴かびのことで、黄色がかった緑色です。しだれ柳の新芽の色でしょう。承句に「君を煩わして一枝を折る」とあるので、留別の詩です。一本に「練秀才の楊柳に和す」と題するものがあるので、練秀才が「楊柳」と題する送別の詩を贈ったのに対して、楊巨源が詩を返して折楊柳を依頼したことになります。
 転結句は「一枝」の楊柳を受け取ったが、春風が名残を惜しむかのように枝を持った手のなかまで吹き入ってくると、繊細な情趣を詠って結びます。

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