中唐42ー王建
海人謡 海人の謡
海人無家海裏住 海人(かいじん) 家無く 海裏(かいり)に住む
採珠役象為歳賦 珠(しゅ)を採(と)り 象(ぞう)を役(えき)して歳賦(さいふ)と為(な)す
悪波横天山塞路 悪波(あくは) 天を横ぎり 山 路(みち)を塞(ふさ)ぎ
未央宮中常満庫 未央宮中(びおうきゅうちゅう) 常に庫(こ)に満つ
⊂訳⊃
海人は家を持たず 海上で生活し
真珠を採り 象牙を運んで税とする
波は天に達し 山は行く手に立ちふさがるが
未央宮の蔵は 納税の品でいっぱいだ
⊂ものがたり⊃ 王建(おうけん:766?ー831?)は潁川(河南省許昌市)の人。代宗の大暦十年(775)に進士に及第したとありますが、十歳で進士になったことになり、なにかの間違いでしょう。生年がこれくらいであれば、貞元はじめの進士かもしれません。任官して渭南(陝西省渭南県)の県尉から太府寺丞、秘書丞、侍御史を歴任しました。
詩題の「海人」は海女のことで、当時としてはかなり特異な題材です。家を持たず海上に住むというのは船上生活者でしょう。「象を役して」は難解で、文面では象を使役していることになりますが、海上生活者が象を使うということは考えられませんので、象牙を舟で運ぶと解しました。
後半は賦役が重過ぎることを批判するものです。船上生活者は苦労して納税の品を運ぶが、宮廷の倉庫は納税品でいっぱいであると詠い、政府を批判します。
海人謡 海人の謡
海人無家海裏住 海人(かいじん) 家無く 海裏(かいり)に住む
採珠役象為歳賦 珠(しゅ)を採(と)り 象(ぞう)を役(えき)して歳賦(さいふ)と為(な)す
悪波横天山塞路 悪波(あくは) 天を横ぎり 山 路(みち)を塞(ふさ)ぎ
未央宮中常満庫 未央宮中(びおうきゅうちゅう) 常に庫(こ)に満つ
⊂訳⊃
海人は家を持たず 海上で生活し
真珠を採り 象牙を運んで税とする
波は天に達し 山は行く手に立ちふさがるが
未央宮の蔵は 納税の品でいっぱいだ
⊂ものがたり⊃ 王建(おうけん:766?ー831?)は潁川(河南省許昌市)の人。代宗の大暦十年(775)に進士に及第したとありますが、十歳で進士になったことになり、なにかの間違いでしょう。生年がこれくらいであれば、貞元はじめの進士かもしれません。任官して渭南(陝西省渭南県)の県尉から太府寺丞、秘書丞、侍御史を歴任しました。
詩題の「海人」は海女のことで、当時としてはかなり特異な題材です。家を持たず海上に住むというのは船上生活者でしょう。「象を役して」は難解で、文面では象を使役していることになりますが、海上生活者が象を使うということは考えられませんので、象牙を舟で運ぶと解しました。
後半は賦役が重過ぎることを批判するものです。船上生活者は苦労して納税の品を運ぶが、宮廷の倉庫は納税品でいっぱいであると詠い、政府を批判します。