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ティェンタオの自由訳漢詩 2044

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 中唐41ー朱放
   題竹林寺           竹林寺に題す

  歳月人間促     歳月(さいげつ) 人間(じんかん)に促(うなが)し
  烟霞此地多     烟霞(えんか)   此の地に多し
  殷勤竹林寺     殷勤(いんぎん)にす  竹林寺(ちくりんじ)
  更得幾囘過     更に幾回(いくかい)か過(よぎ)るを得ん

  ⊂訳⊃
          歳月は    人の世をせき立てるが

          この地には  ゆたかな霞が立ちこめる

          竹林寺の   佇むさまにひたりつつ

          再訪の日はあるのかと 惜しみながら歩み去る


 ⊂ものがたり⊃ 朱放(しゅほう:生没年不詳)は襄州(湖北省襄樊市)の人。はじめ漢水のほとりの街に住んでいましたが飢饉に遭い、剡渓(浙江省嵊県の西南)に移住して隠者の生活を送りました。一時期、江西節度使(江西省南昌市)に招かれて参謀になりますが肌に合わず、辞して帰郷しました。
 詩題の「竹林寺」と称する寺は、輝県(河南省)、江陵(湖北省)、廬山(江西省)の三か所にあったといいます。江西節度使の参謀を辞して去るときの作とすれば、廬山の竹林寺になるでしょう。
 起承句に感慨があります。歳月に追い立てられるような俗世を嫌い、「烟霞」の立ち込める幽𨗉な環境が好ましいと詠います。だが、二度と訪れる機会はないだろうと思いながら立ち去るのです。
 そのご朱放は貞元二年(786)に諸科に及第し、左拾遺に任じる詔書を受けますが辞退し、無官のまま生涯を終えました。『唐詩選』はこの一首をに載せるのみです。 

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