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ティェンタオの自由訳漢詩 2040

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 中唐37ー李益
    従軍北征            軍に従って北征す

  天山雪後海風寒   天山(てんざん)  雪後(せつご)  海風(かいふう)寒し
  横笛偏吹行路難   横笛(おうてき)  偏(ひと)えに吹く行路難(こうろなん)
  磧裏征人三十万   磧裏(せきり)の征人(せいじん)  三十万
  一時囘首月中看   一時に首(こうべ)を回(めぐ)らして月中に看(み)る

  ⊂訳⊃
          天山に雪が降り  冷たい風が湖上から吹く

          横笛が     しきりに奏でる曲は「行路難」

          砂漠を進む  三十万の将兵は

          月明りの中  一度にうしろを振り返る


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「北征」は北方への遠征ですが、胡族の征討に多く用います。このころ唐は吐蕃と戦っていましたので、吐蕃への遠征でしょう。現代ではタクラマカン砂漠の北につらなる山脈を天山といいますが、唐代では祁連山(きれんざん)を天山と呼ぶこともありました。とすれば、「海風」は青海湖から吹く風になります。
 しかし、作者が節度幕僚をしていた邠寧(ひんねい:甘粛省東部)からは西に離れています。「行路難」は旅路のつらさを主題とする楽曲の名です。「一時に首を回らして月中に看る」には諸説がありますが、ここでは月下でうしろを振り返る意に解しました。

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