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ティェンタオの自由訳漢詩 2036

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 中唐33ー戎?
    採蓮曲               採蓮曲

  涔陽女児花満頭   涔陽(しんよう)の女児(じょじ)  花  頭(こうべ)に満つ
  驂驂同泛木蘭舟   驂驂(さんさん)として同じく泛(うか)ぶ木蘭(もくらん)の舟
  秋風日暮南湖裏   秋風(しゅうふう)  日暮るるも南湖(なんこ)の裏(うち)
  争唱菱歌不肯休   争って菱歌(りょうが)を唱(うた)い  肯(あ)えて休(や)めず
 
        〇 二句目の「驂」は外字になりますので同音
          の字に変えてあります。本来は毛偏です。

  ⊂訳⊃
          涔陽の娘たちは   頭に花を飾り立て

          木蘭の舟に乗って  群がりつどう

          南湖に吹く秋の風  日暮れになったが

          争って菱歌を唱い  やめようとしない


 ⊂ものがたり⊃ 戎?(じゅういく)は生没年不詳です。徳宗の建中年間(780ー783)に辰州刺史をつとめていましたので、韋応物と同じころに活躍した詩人とみられます。
 詩題の「採蓮曲」(さいれんきょく)は蓮の実採りの歌の意味ですが、蓮はどこにも出て来ません。当時、菱や蓮の実摘みは農家の娘たちの楽しい労働でした。「涔陽」は確定できませんが、湖北省公安県の南、涔水の北に涔陽鎮があり、あたりは湖沼地帯です。
 「驂驂」の本来の字は髪もしくは細長いものが乱れているさまをいいます。ここでは小舟が群がっているさまをいうのでしょう。「木蘭の舟」は楚辞に出てくる舟で、菱採り舟を雅していうものです。「菱歌」は菱摘みの労働歌ですので、ここではじめて菱摘みを詠っていることが分かります。日暮れになっても歌をやめないのは、岸辺に男たちが現れるのを待っているのです。

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