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ティェンタオの自由訳漢詩 2032

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 中唐29ー韋応物
   淮上喜会           淮上にて梁州の
   梁州故人           故人に会うを喜ぶ

  江漢曾為客     江漢(こうかん)   曾(かつ)て客と為(な)り
  相逢毎酔還     相逢(あいあ)えば毎(つね)に酔いて還(かえ)る
  浮雲一別後     浮雲(ふうん)    一別の後(のち)
  流水十年間     流水(りゅうすい)  十年の間(かん)
  歓笑情如旧     歓笑(かんしょう)  情は旧(もと)の如きも
  蕭䟽鬢已斑     蕭䟽(しょうそ)   鬢(びん)は已(すで)に斑(まだら)なり
  何因不帰去     何に因(よ)りてか帰り去らざる
  淮上有秋山     淮上(わいじょう)  秋山(あきやま)有ればなり

  ⊂訳⊃
          江漢の地で   かつて過ごした旅暮らし
          逢えばいつも  酔って帰ったものだった
          浮雲のように  一別以来
          水は流れて   十年が過ぎる
          談笑すれば   情は昔と変わらぬが
          鬢に白髪が   ものさびしい
          どうして帰って来ないのか  と問われたら
          淮水の辺には みごとな秋山があるからだ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「梁州(りょうしゅう)の故人」は梁州(河南省睢陽県)出身の昔なじみという意味で、名を記さないのは官途の人でないからでしょう。むかし江漢の地を放浪していたときの仲間が訪ねてきたと思われます。
 はじめの二句は出だしで、それから十年の歳月が流れました。「歓笑」は喜び笑うこと、「蕭䟽」は淋しくまばらなことで、白髪まじりになったのです。結びの二句は問いと答えで、自問自答であってもかまいません。都に帰らないのは淮水のあたりの秋山が美しいからだと答えます。

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