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ティェンタオの自由訳漢詩 2031

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 中唐28ー韋応物
   淮上遇洛陽李主簿   淮上にて洛陽の李主簿に遇う

  結茅臨古渡     茅(ぼう)を結びて古渡(こと)に臨み
  臥見長淮水     臥(が)して見れば淮水(わいすい)長し
  牕裏人将老     牕裏(そうり)    人  将(まさ)に老いんとし
  門前樹已秋     門前(もんぜん)  樹  已(すで)に秋なり
  寒山独過雁     寒山(かんざん)  独り過ぐる雁(かり)
  暮雨遠来舟     暮雨(ぼう)     遠来(えんらい)の舟
  日夕逢帰客     日夕(にっせき)  帰客(ききゃく)に逢えば
  那能忘旧遊     那(なん)ぞ能(よ)く旧遊(きゅうゆう)を忘れんや

  ⊂訳⊃
          古びた渡し場の辺で  あばら家に住み
          寝ころんで眺めると  淮水はほそ長い
          この部屋で  私は老いようとし
          門前の樹は  すでに秋の気配だ
          冬枯れの山を越え  一羽の雁が飛び
          日暮れの雨のなか  遠来の客の舟がつく
          夕暮れのこの時刻  都にかえる友と逢えば
          曾ての都の生活を  想い出さずにはいられない


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「李主簿」(りしゅぼ)は洛陽県の主簿(正九品上)で、「淮上」とありますので淮水に近い滁州を訪ねてきたのです。はじめの二句では、「臥して見れば淮水長し」と滁州の官舎で退屈している自分を詠います。
 中四句は老いの兆した自分と秋の景色を対比して描き、日暮れの雨のなか舟がついたと歓迎の意をしめします。寂しさを描く二聯の対句はみごとな出来です。
 結びの二句で、李主簿は都に帰る途中、滁州に立ち寄ったことが分かります。「旧遊」は昔の交遊ですが、それは都での生活であり、長安を懐かしむのです。 

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