中唐28ー韋応物
淮上遇洛陽李主簿 淮上にて洛陽の李主簿に遇う
結茅臨古渡 茅(ぼう)を結びて古渡(こと)に臨み
臥見長淮水 臥(が)して見れば淮水(わいすい)長し
牕裏人将老 牕裏(そうり) 人 将(まさ)に老いんとし
門前樹已秋 門前(もんぜん) 樹 已(すで)に秋なり
寒山独過雁 寒山(かんざん) 独り過ぐる雁(かり)
暮雨遠来舟 暮雨(ぼう) 遠来(えんらい)の舟
日夕逢帰客 日夕(にっせき) 帰客(ききゃく)に逢えば
那能忘旧遊 那(なん)ぞ能(よ)く旧遊(きゅうゆう)を忘れんや
⊂訳⊃
古びた渡し場の辺で あばら家に住み
寝ころんで眺めると 淮水はほそ長い
この部屋で 私は老いようとし
門前の樹は すでに秋の気配だ
冬枯れの山を越え 一羽の雁が飛び
日暮れの雨のなか 遠来の客の舟がつく
夕暮れのこの時刻 都にかえる友と逢えば
曾ての都の生活を 想い出さずにはいられない
⊂ものがたり⊃ 詩題の「李主簿」(りしゅぼ)は洛陽県の主簿(正九品上)で、「淮上」とありますので淮水に近い滁州を訪ねてきたのです。はじめの二句では、「臥して見れば淮水長し」と滁州の官舎で退屈している自分を詠います。
中四句は老いの兆した自分と秋の景色を対比して描き、日暮れの雨のなか舟がついたと歓迎の意をしめします。寂しさを描く二聯の対句はみごとな出来です。
結びの二句で、李主簿は都に帰る途中、滁州に立ち寄ったことが分かります。「旧遊」は昔の交遊ですが、それは都での生活であり、長安を懐かしむのです。
淮上遇洛陽李主簿 淮上にて洛陽の李主簿に遇う
結茅臨古渡 茅(ぼう)を結びて古渡(こと)に臨み
臥見長淮水 臥(が)して見れば淮水(わいすい)長し
牕裏人将老 牕裏(そうり) 人 将(まさ)に老いんとし
門前樹已秋 門前(もんぜん) 樹 已(すで)に秋なり
寒山独過雁 寒山(かんざん) 独り過ぐる雁(かり)
暮雨遠来舟 暮雨(ぼう) 遠来(えんらい)の舟
日夕逢帰客 日夕(にっせき) 帰客(ききゃく)に逢えば
那能忘旧遊 那(なん)ぞ能(よ)く旧遊(きゅうゆう)を忘れんや
⊂訳⊃
古びた渡し場の辺で あばら家に住み
寝ころんで眺めると 淮水はほそ長い
この部屋で 私は老いようとし
門前の樹は すでに秋の気配だ
冬枯れの山を越え 一羽の雁が飛び
日暮れの雨のなか 遠来の客の舟がつく
夕暮れのこの時刻 都にかえる友と逢えば
曾ての都の生活を 想い出さずにはいられない
⊂ものがたり⊃ 詩題の「李主簿」(りしゅぼ)は洛陽県の主簿(正九品上)で、「淮上」とありますので淮水に近い滁州を訪ねてきたのです。はじめの二句では、「臥して見れば淮水長し」と滁州の官舎で退屈している自分を詠います。
中四句は老いの兆した自分と秋の景色を対比して描き、日暮れの雨のなか舟がついたと歓迎の意をしめします。寂しさを描く二聯の対句はみごとな出来です。
結びの二句で、李主簿は都に帰る途中、滁州に立ち寄ったことが分かります。「旧遊」は昔の交遊ですが、それは都での生活であり、長安を懐かしむのです。