中唐24ー韋応物
登楼 登楼
茲楼日登眺 茲(こ)の楼(ろう) 日に登り眺む
流歳暗蹉跎 流歳(りゅうさい) 暗(あん)に蹉跎(さた)たり
坐厭淮南守 坐して厭(いと)う淮南(わいなん)の守(しゅ)
秋山紅樹多 秋山(あきやま) 紅樹(こうじゅ)多し
⊂訳⊃
日ごと高楼に登り あたりを眺める
来し方を思えば おのずから悔やまれる
淮南の刺史となったが 嬉しくもなく
秋の山には 紅葉の樹々が満ちている
⊂ものがたり⊃ 韋応物の進士及第は不明ですが、徳宗の建中二年(781)に尚書省比部員外郎になり、翌三年、四十六歳のころに滁州(じょしゅう:安徽省滁県)刺史になります。このころから韋応物は大暦期にはじまる中唐詩の新しい方向について勝れた作品を書き、また贈答詩の秀作を残します。
詩題に「登楼」とあるのは重陽節を意識しています。詩中に「淮南守」とあり、滁州刺史になってからの作品でしょう。「蹉跎」はつまずく、時期を失する意味で、これまでの人生を失敗の連続だったと反省します。
結句は突き放すように切って余韻を残します。秋山の紅葉への共感を詠うことで、俗世を厭う気持ちを示すのでしょう。
登楼 登楼
茲楼日登眺 茲(こ)の楼(ろう) 日に登り眺む
流歳暗蹉跎 流歳(りゅうさい) 暗(あん)に蹉跎(さた)たり
坐厭淮南守 坐して厭(いと)う淮南(わいなん)の守(しゅ)
秋山紅樹多 秋山(あきやま) 紅樹(こうじゅ)多し
⊂訳⊃
日ごと高楼に登り あたりを眺める
来し方を思えば おのずから悔やまれる
淮南の刺史となったが 嬉しくもなく
秋の山には 紅葉の樹々が満ちている
⊂ものがたり⊃ 韋応物の進士及第は不明ですが、徳宗の建中二年(781)に尚書省比部員外郎になり、翌三年、四十六歳のころに滁州(じょしゅう:安徽省滁県)刺史になります。このころから韋応物は大暦期にはじまる中唐詩の新しい方向について勝れた作品を書き、また贈答詩の秀作を残します。
詩題に「登楼」とあるのは重陽節を意識しています。詩中に「淮南守」とあり、滁州刺史になってからの作品でしょう。「蹉跎」はつまずく、時期を失する意味で、これまでの人生を失敗の連続だったと反省します。
結句は突き放すように切って余韻を残します。秋山の紅葉への共感を詠うことで、俗世を厭う気持ちを示すのでしょう。