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ティェンタオの自由訳漢詩 2026

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 中唐23ー韋応物
    答李澣             李澣に答う

  林中観易罷     林中(りんちゅう)  易(えき)を観ること罷(や)み
  渓上対鷗閑     渓上(けいじょう)  鷗(かもめ)に対して閑(かん)なり
  楚俗饒辞客     楚俗(そぞく)    辞客(じかく)饒(おお)し
  何人最往還     何人(なにびと)とか最も往還(おうかん)する

  ⊂訳⊃
          君は林の中で  易経を読むのにも飽き

          谷川の岸辺で  鷗と遊んでいるのだろう

          楚には昔から  詩人が多い

          とりわけ誰と   親しく交際しているの


 ⊂ものがたり⊃ 韋応物(いおうぶつ:737?ー791?)は京兆長安(陝西省西安市)の人。名門の出ですが、若いころは剣術や遊侠を好んでいました。十七、八歳のころ玄宗皇帝の三衛郎(護衛兵)になりますが、ほどなく安史の乱が起こり、二十歳で職を失います。
 江漢の地を放浪したあと官に復し、代宗の永泰元年(765)に洛陽の県丞になりますが、疾のために辞職します。二度の疾のあいだに勉学にはげみ、知識人としての知性を磨きます。
 詩題の「李澣」(りかん)については、韋応物の後輩で監察御史になった李澣ではないかとする説があります。韋応物が洛陽の県丞のころ、「楚」(湖北省)地に赴任していた李澣から詩を送って来、それに応える詩です。
 はじめ二句の「易」は『易経』、「鷗」は『列子』にみえる寓話を踏まえており、鷗はこちらが無心ならば人になつくと言われています。易経を読むのにも飽き、のんびり鷗と遊んでいるのかと地方勤めの退屈を思いやるのです。後半の「楚俗」は楚地が楚辞の故郷であることを踏まえ、どんな詩人と付き合っているのかと問いかけます。

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