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ティェンタオの自由訳漢詩 2024

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 中唐21ー李端
    拝新月             拝新月

  開簾見新月     簾(すだれ)を開いて新月を見(み)
  即便下階拝     即便(すなわ)ち階(かい)を下(くだ)りて拝す
  細語人不聞     細語(さいご)   人  聞かず
  北風吹羅帯     北風(ほくふう)  羅帯(らたい)を吹く

  ⊂訳⊃
          簾を巻き上げて  新月を見ると

          すぐに階を降り  月を拝する

          なにやら呟くが  言葉は聞こえず

          一陣の北風が   薄絹の帯をひるがえす


 ⊂ものがたり⊃ 李端(りたん:733ー792)は趙州(河北省趙県)の人。若くして廬山に住み、湖州(浙江省呉興県)の詩僧皎然(こうねん)に禅を学びました。大暦五年(770)、三十九歳で進士に及第し校書郎になりますが、多病のために終南山の草堂寺に隠棲します。
 中国には女性がいろいろな願いを込めて月を拝む「拝新月」(はいしんげつ)の習慣があります。「階」(きざはし)は回廊から中庭に降りる階段のことで、閨怨詩によく出て来る場面です。
 詩は閨怨詩のスタイルを取り、動きのある美しい詩ですが、転句で「細語 人 聞かず」と女性の呟く願い事が聞こえません。そこに含みがあります。言葉に出す前の段階で止めることで、いろいろな意味を込めるのです。

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