中唐21ー李端
拝新月 拝新月
開簾見新月 簾(すだれ)を開いて新月を見(み)
即便下階拝 即便(すなわ)ち階(かい)を下(くだ)りて拝す
細語人不聞 細語(さいご) 人 聞かず
北風吹羅帯 北風(ほくふう) 羅帯(らたい)を吹く
⊂訳⊃
簾を巻き上げて 新月を見ると
すぐに階を降り 月を拝する
なにやら呟くが 言葉は聞こえず
一陣の北風が 薄絹の帯をひるがえす
⊂ものがたり⊃ 李端(りたん:733ー792)は趙州(河北省趙県)の人。若くして廬山に住み、湖州(浙江省呉興県)の詩僧皎然(こうねん)に禅を学びました。大暦五年(770)、三十九歳で進士に及第し校書郎になりますが、多病のために終南山の草堂寺に隠棲します。
中国には女性がいろいろな願いを込めて月を拝む「拝新月」(はいしんげつ)の習慣があります。「階」(きざはし)は回廊から中庭に降りる階段のことで、閨怨詩によく出て来る場面です。
詩は閨怨詩のスタイルを取り、動きのある美しい詩ですが、転句で「細語 人 聞かず」と女性の呟く願い事が聞こえません。そこに含みがあります。言葉に出す前の段階で止めることで、いろいろな意味を込めるのです。
拝新月 拝新月
開簾見新月 簾(すだれ)を開いて新月を見(み)
即便下階拝 即便(すなわ)ち階(かい)を下(くだ)りて拝す
細語人不聞 細語(さいご) 人 聞かず
北風吹羅帯 北風(ほくふう) 羅帯(らたい)を吹く
⊂訳⊃
簾を巻き上げて 新月を見ると
すぐに階を降り 月を拝する
なにやら呟くが 言葉は聞こえず
一陣の北風が 薄絹の帯をひるがえす
⊂ものがたり⊃ 李端(りたん:733ー792)は趙州(河北省趙県)の人。若くして廬山に住み、湖州(浙江省呉興県)の詩僧皎然(こうねん)に禅を学びました。大暦五年(770)、三十九歳で進士に及第し校書郎になりますが、多病のために終南山の草堂寺に隠棲します。
中国には女性がいろいろな願いを込めて月を拝む「拝新月」(はいしんげつ)の習慣があります。「階」(きざはし)は回廊から中庭に降りる階段のことで、閨怨詩によく出て来る場面です。
詩は閨怨詩のスタイルを取り、動きのある美しい詩ですが、転句で「細語 人 聞かず」と女性の呟く願い事が聞こえません。そこに含みがあります。言葉に出す前の段階で止めることで、いろいろな意味を込めるのです。