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ティェンタオの自由訳漢詩 2023

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 中唐20ー盧綸
   村南逢病叟            村南に 病叟に逢う

  双膝過頤頂在肩   双膝(そうしつ)は頤(おとがい)を過ぎ  頂(いただき)は肩に在り
  四隣知姓不知年   四隣(しりん)  姓(せい)を知るも  年(とし)を知らず
  臥駆鳥雀惜禾黍   臥(ふ)して鳥雀(ちょうじゃく)を駆って禾黍(かしょ)を惜(おし)み
  猶恐諸孫無社銭   猶(な)お恐る  諸孫(しょそん)の社銭(しゃせん)無きを

  ⊂訳⊃
          顎の上まで   両膝を突き出し頭は肩に沈みこむ

          近所の人々は  姓は知っているが歳を知らない

          穀物が惜しく  畑に這いつくばって小鳥を追うが

          村祭の日に   孫たちに渡す小遣いが欲しいのだ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「病叟」(びょうそう)は病気の老人ですが、起句の描写によると背中が曲がってしまう病気のようです。年齢も分からないほどの老人で、体も不自由なのに、這うようにして畑で小鳥を追っています。というのも、村祭の日に孫たちにわたす小遣い銭が心配だからだと詠います。
 病気の老人への思いやりに満ちていると同時に、この世にはこんな体でも孫に小遣いをやるために何とか収入を得たいと働いている老人がいると、富者の贅沢を諭す気持ちがひそんでいるようです。
 辞職して故郷にもどっていた盧綸は、やがて河中府(山西省永済県)の留守(長官)に招かれて元帥判官になり、検校戸部郎中に移ります。徳宗のとき都に召し出されますが、出発する前に亡くなりました。享年六十三歳くらいです。

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