中唐19ー盧綸
逢病軍人 病軍人に逢う
行多有病住無糧 行(こう)多く 病(やまい)有りて 住むに糧(かて)無し
万里還郷未到郷 万里(ばんり) 郷に還(かえ)らんとして 未(いま)だ郷に到らず
蓬鬢哀吟古城下 蓬鬢(ほうびん) 哀吟(あいぎん) 古城の下(もと)
不堪秋気入金瘡 堪えず 秋気(しゅうき)の金瘡(きんそう)に入るに
⊂訳⊃
万里の行軍 病気にもなり 食糧もつきる
故郷に帰ろうとしているが まだ辿り着けない
ばさばさ髪 古城のほとりで呻き声を上げ
秋の冷気が 戦の切り傷にしみて堪えがたい
⊂ものがたり⊃ 盧綸(ろりん:737?ー799?)は河中蒲県(山西省永済県)の人。安禄山の乱を避けて鄱陽(江西省波陽県)に移住しました。大暦初年に都へ出て科挙に挑みましたが及第せず、宰相の元載(げんさい)に詩才を認められて、閿郷(ふんきょう:河南省)の県尉になります。累進して検校戸部郎中、監察御史に至りますが、病気のために辞職し故郷にもどりました。
詩題の「病軍人に逢う」は病気の軍人に逢ったということ。その軍人に成り代わって作った詩です。当時は内戦や異民族との衝突が繰り返されていましたので、戦で負傷し、病気にもなり、落伍して故郷に帰る軍人を見かけたのでしょう。
この詩には、そういう軍人が出て来るのはなぜかという問いが含まれており、そのことを言外に置いて事実の描写にとどめています。
逢病軍人 病軍人に逢う
行多有病住無糧 行(こう)多く 病(やまい)有りて 住むに糧(かて)無し
万里還郷未到郷 万里(ばんり) 郷に還(かえ)らんとして 未(いま)だ郷に到らず
蓬鬢哀吟古城下 蓬鬢(ほうびん) 哀吟(あいぎん) 古城の下(もと)
不堪秋気入金瘡 堪えず 秋気(しゅうき)の金瘡(きんそう)に入るに
⊂訳⊃
万里の行軍 病気にもなり 食糧もつきる
故郷に帰ろうとしているが まだ辿り着けない
ばさばさ髪 古城のほとりで呻き声を上げ
秋の冷気が 戦の切り傷にしみて堪えがたい
⊂ものがたり⊃ 盧綸(ろりん:737?ー799?)は河中蒲県(山西省永済県)の人。安禄山の乱を避けて鄱陽(江西省波陽県)に移住しました。大暦初年に都へ出て科挙に挑みましたが及第せず、宰相の元載(げんさい)に詩才を認められて、閿郷(ふんきょう:河南省)の県尉になります。累進して検校戸部郎中、監察御史に至りますが、病気のために辞職し故郷にもどりました。
詩題の「病軍人に逢う」は病気の軍人に逢ったということ。その軍人に成り代わって作った詩です。当時は内戦や異民族との衝突が繰り返されていましたので、戦で負傷し、病気にもなり、落伍して故郷に帰る軍人を見かけたのでしょう。
この詩には、そういう軍人が出て来るのはなぜかという問いが含まれており、そのことを言外に置いて事実の描写にとどめています。