中唐17ー司空曙
金陵懐古 金陵懐古
輦路江楓暗 輦路(れんろ) 江楓(こうふう)暗く
宮廷野草春 宮廷(きゅうてい) 野草(やそう)の春
傷心庾開府 傷心(しょうしん) 庾開府(ゆかいふ)
老作北朝臣 老いて北朝(ほくちょう)の臣と作(な)る
⊂訳⊃
御輦の路に 川辺の楓樹はほの暗く
宮殿の庭に 野草の花が咲きほこる
傷ましいかな開府庾信は
老いて北朝の臣下となる
⊂ものがたり⊃ 司空曙(しくうしょ:740?ー790?)は広平(河北省永年県)の人。代宗の大暦はじめに左拾遺になっていますので、それ以前に流入したとみられますが、進士及第の年は不明です。官途は詳らかでなく、長沙(湖南省長沙市)のあたりに流寓したことがあるといいます。
詩題の「金陵」(きんりょう)は南朝の都建康(江蘇省南京市)の古名で、亡国の臣下庾信に思いを馳せます。「輦路」の輦は皇帝の乗物。起承句で廃都の春の寂しさを描きます。後半の「庾開府」は南朝梁の開府儀同三司庾信(ゆしん)のことです。
庾信が使者として北朝の魏(西魏)にいたとき、本国の梁が滅亡して陳王朝になりました。帰国できなくなって魏にとどまっていたとき、北朝も西魏から北周に替わり、北周に仕えて望郷の詩(平成25.11.30のブログ参照)を残しました。北周が随に替わったとき異郷で没した不運の詩人です。
金陵懐古 金陵懐古
輦路江楓暗 輦路(れんろ) 江楓(こうふう)暗く
宮廷野草春 宮廷(きゅうてい) 野草(やそう)の春
傷心庾開府 傷心(しょうしん) 庾開府(ゆかいふ)
老作北朝臣 老いて北朝(ほくちょう)の臣と作(な)る
⊂訳⊃
御輦の路に 川辺の楓樹はほの暗く
宮殿の庭に 野草の花が咲きほこる
傷ましいかな開府庾信は
老いて北朝の臣下となる
⊂ものがたり⊃ 司空曙(しくうしょ:740?ー790?)は広平(河北省永年県)の人。代宗の大暦はじめに左拾遺になっていますので、それ以前に流入したとみられますが、進士及第の年は不明です。官途は詳らかでなく、長沙(湖南省長沙市)のあたりに流寓したことがあるといいます。
詩題の「金陵」(きんりょう)は南朝の都建康(江蘇省南京市)の古名で、亡国の臣下庾信に思いを馳せます。「輦路」の輦は皇帝の乗物。起承句で廃都の春の寂しさを描きます。後半の「庾開府」は南朝梁の開府儀同三司庾信(ゆしん)のことです。
庾信が使者として北朝の魏(西魏)にいたとき、本国の梁が滅亡して陳王朝になりました。帰国できなくなって魏にとどまっていたとき、北朝も西魏から北周に替わり、北周に仕えて望郷の詩(平成25.11.30のブログ参照)を残しました。北周が随に替わったとき異郷で没した不運の詩人です。