中唐16ー耿湋
涼州詞 涼州詞
国使翩翩随旆旌 国使(こくし)翩翩(へんぺん)として旆旌(はいせい)に随い
隴西岐路足荒城 隴西(ろうせい)の岐路(きろ) 荒城(こうじょう)足(おお)し
氈裘牧馬胡雛小 氈裘(せんきゅう)馬を牧す 胡雛(こすう)小さく
日暮蕃歌三両声 日暮(にちぼ) 蕃歌(ばんか) 三両声(さんりょうせい)
⊂訳⊃
朝廷の使者が 旗を翻して西へゆく
隴西の岐路に 荒れ果てた多くの城
胡族は馬を放牧し 馬上の少年も小さく見え
夕暮れに二声三声 蛮夷の歌が聞こえてくる
⊂ものがたり⊃ 代宗のはじめ吐蕃の勢いは強く、しばしば西の国境を侵しました。「国使」は吐蕃との交渉に赴く使者かも知れません。「隴西」は隴山の西で、分かれ道にある城の多くは荒れ果てていました。「氈裘」は毛織や獣皮で作った衣で胡族を意味します。「胡雛」は胡族の少年です。
盛唐の時代、辺塞詩は西域勤務者の郷愁を詠うものでしたが、ここでは唐の勢威の衰退を嘆く詩になっています。転句の「氈裘馬を牧す 胡雛小さく」は広い草原に胡族が自由に馬を放牧し、馬上の少年も小さく見えるほどだと状況を描いています。結句も西域ロマンと受け取ることはできないでしょう。
安史の乱後の混乱期に流入(任官すること)した耿湋は大理司法から左拾遺(従八品上)に至りますが、没年は不明です。
涼州詞 涼州詞
国使翩翩随旆旌 国使(こくし)翩翩(へんぺん)として旆旌(はいせい)に随い
隴西岐路足荒城 隴西(ろうせい)の岐路(きろ) 荒城(こうじょう)足(おお)し
氈裘牧馬胡雛小 氈裘(せんきゅう)馬を牧す 胡雛(こすう)小さく
日暮蕃歌三両声 日暮(にちぼ) 蕃歌(ばんか) 三両声(さんりょうせい)
⊂訳⊃
朝廷の使者が 旗を翻して西へゆく
隴西の岐路に 荒れ果てた多くの城
胡族は馬を放牧し 馬上の少年も小さく見え
夕暮れに二声三声 蛮夷の歌が聞こえてくる
⊂ものがたり⊃ 代宗のはじめ吐蕃の勢いは強く、しばしば西の国境を侵しました。「国使」は吐蕃との交渉に赴く使者かも知れません。「隴西」は隴山の西で、分かれ道にある城の多くは荒れ果てていました。「氈裘」は毛織や獣皮で作った衣で胡族を意味します。「胡雛」は胡族の少年です。
盛唐の時代、辺塞詩は西域勤務者の郷愁を詠うものでしたが、ここでは唐の勢威の衰退を嘆く詩になっています。転句の「氈裘馬を牧す 胡雛小さく」は広い草原に胡族が自由に馬を放牧し、馬上の少年も小さく見えるほどだと状況を描いています。結句も西域ロマンと受け取ることはできないでしょう。
安史の乱後の混乱期に流入(任官すること)した耿湋は大理司法から左拾遺(従八品上)に至りますが、没年は不明です。