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ティェンタオの自由訳漢詩 2019

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 中唐16ー耿湋
     涼州詞               涼州詞

  国使翩翩随旆旌   国使(こくし)翩翩(へんぺん)として旆旌(はいせい)に随い
  隴西岐路足荒城   隴西(ろうせい)の岐路(きろ)  荒城(こうじょう)足(おお)し
  氈裘牧馬胡雛小   氈裘(せんきゅう)馬を牧す   胡雛(こすう)小さく
  日暮蕃歌三両声   日暮(にちぼ) 蕃歌(ばんか)  三両声(さんりょうせい)

  ⊂訳⊃
          朝廷の使者が  旗を翻して西へゆく

          隴西の岐路に  荒れ果てた多くの城

          胡族は馬を放牧し  馬上の少年も小さく見え

          夕暮れに二声三声  蛮夷の歌が聞こえてくる


 ⊂ものがたり⊃ 代宗のはじめ吐蕃の勢いは強く、しばしば西の国境を侵しました。「国使」は吐蕃との交渉に赴く使者かも知れません。「隴西」は隴山の西で、分かれ道にある城の多くは荒れ果てていました。「氈裘」は毛織や獣皮で作った衣で胡族を意味します。「胡雛」は胡族の少年です。
 盛唐の時代、辺塞詩は西域勤務者の郷愁を詠うものでしたが、ここでは唐の勢威の衰退を嘆く詩になっています。転句の「氈裘馬を牧す 胡雛小さく」は広い草原に胡族が自由に馬を放牧し、馬上の少年も小さく見えるほどだと状況を描いています。結句も西域ロマンと受け取ることはできないでしょう。
 安史の乱後の混乱期に流入(任官すること)した耿湋は大理司法から左拾遺(従八品上)に至りますが、没年は不明です。

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