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ティェンタオの自由訳漢詩 2017

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 中唐14ー載叔倫
    女耕田行             女耕田行         (後半八句)

  姉妹相携心正苦   姉妹(しまい)  相携(あいたずさ)えて  心  正(まさ)に苦しく
  不見路人唯見土   路人(ろじん)を見ずして  唯  土を見る
  疎通畦隴防乱苗   畦隴(あいろう)を疎通(そつう)して乱苗(らんびょう)を防ぎ
  整頓溝塍待時雨   溝塍(こうしょう)を整頓(せいとん)して時雨(じう)を待つ
  日正南岡下餉帰   日  正(まさ)に南岡(なんこう)にして  下って餉帰(しょうき)すれば
  可憐朝雉擾驚飛   憐(あわれ)む可(べ)し  朝雉(ちょうち)  擾(みだ)れて驚飛(きょうひ)す
  東隣西舎花発尽   東隣(とうりん)  西舎(せいしゃ)  花  発(ひら)き尽くし
  共惜余芳涙満衣   共に余芳(よほう)を惜(おし)んで  涙  衣(ころも)に満つ

  ⊂訳⊃
          姉妹は農作業に励むが  心の内はつらそうだ
          道ゆく人に目を向けず   畑の土を見詰めている
          畝を盛り上げて  苗が正しく伸びるようにし
          溝と畔を整えて  恵みの雨を待つ
          太陽が南の丘の上に来て  食事に帰ろうとすると
          悲しいことに   つがいの雉が乱れ飛ぶ
          東隣りも西の家も    花の季節は終わり
          残りの花を惜しみつつ  涙を流すだけなのだ


 ⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句では、姉妹の働く姿を描きながらその胸の内を想像します。姉妹は女だけで畑仕事をしているのが恥かしいのです。しかし、よい収穫を願って必死に畑を整えています。
 結びの四句では昼休みの時刻になり、「餉」(弁当)を取るために畑を下りて帰ろうとしました。すると草むらから「朝雉」(つがいの雉)が驚いて飛び立ちました。ここで「憐む可し」と言っているのは、結婚もできないでいる姉妹を歎くのです。
 家に帰ると、隣の家の庭は花も終わったのに、姉妹は残りの花をいとおしみながら涙にくれるばかりでした。花は若さの喩えで、姉妹の若さも失われていくと同情するのです。
 載叔倫はそのご認められて撫州(江西省臨川県)刺史、容州(広西壮族自治区容県)刺史蒹本管経略使を歴任し、善政を布いて住民に慕われたといいます。辞職後は道士になり、徳宗の貞元五年(789)に亡くなりました。享年五十八歳です。

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