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ティェンタオの自由訳漢詩 2016

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 中唐13ー載叔倫
    女耕田行             女耕田行         (前半十句)

  乳燕入巣笋成竹   乳燕(にゅうえん)  巣に入って  笋(たけのこ)  竹と成る
  誰家二女種新穀   誰(た)が家の二女ぞ  新穀(しんこく)を種(う)うる
  無人無牛不及犁   人無く  牛無くして犁(す)くに及ばず
  持刀斫地翻作泥   刀(かたな)を持し  地を斫(き)りて  翻(かえ)して泥(どろ)と作(な)す
  自言家貧母年老   自ら言う  家貧にして  母は年老い
  長兄従軍未娶嫂   長兄は軍に従って  未だ嫂(あによめ)を娶(めと)らず
  去年災疫牛囤空   去年  災疫(さいえき)ありて牛囤(ぎゅうとん)空(むな)し
  截絹売刀都市中   絹を截(た)ち  刀を売る  都市の中(うち)
  頭布掩面畏人識   頭布(ずきん)  面(おもて)を掩(おお)って人の識るを畏(おそ)る
  以刀代牛誰与同   刀を以て牛に代うる  誰と与(とも)にか同じゅうせん

  ⊂訳⊃
          親燕は巣に入り  竹の子が竹となる季節
          どこの娘だろう  二人で種を撒いている
          人手がなく牛もおらず  耕すことができずに
          刃物で地面を掘り返している
          彼女らが言うには   「家は貧しく母は老い
          長兄は兵隊に取られ  嫁も迎えておりません
          去年は天災と疫病で  牛小屋は空っぽになり
          絹を切り刀を売りに  街に出かけていきました
          人に見られないよう  頭巾で顔を隠しましたが
          刀を牛に換えるなど  みっともないことです」


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「女耕田行」(じょこうでんこう)は載叔倫が新しく作った楽府題で、杜甫の「兵車行」と同じく白居易の「新楽府」に先行する新詩題です。意味は畑を耕す娘の歌。
 前半十句のはじめ四句は初夏、畑仕事をする姉妹の姿を描いて導入とします。当時は若い娘が二人だけで畑仕事をするのは珍しかったのでしょう。見ていると鍬や鋤を持っておらず、刃物で土を掘り返しています。
 つぎの六句は作者の問いに答える姉妹の言葉で、締めくくりの言葉「刀を以て牛に代うる  誰と与にか同じゅうせん」に士階級らしい倫理観が示されています。 

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