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ティェンタオの自由訳漢詩 2014

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 中唐11ー顧況
    聴角思帰         角を聴いて帰らんことを思う

  故園黄葉満青苔   故園(こえん)の黄葉(こうよう)  青苔(せいたい)に満つ
  夢後城頭暁角哀   夢後(むご)  城頭(じょうとう)  暁角(ぎょうかく)哀し
  此夜断腸人不見   此の夜(よ)断腸(だんちょう)す 人見えざるに
  起行残月影徘徊   起ちて行けば  残月  影(かげ)徘徊(はいかい)す

  ⊂訳⊃
          故郷の庭に秋の黄葉が  青苔の上一面に散っている

          夢から覚めれば城壁の  夜明けの角笛が身にしみる

          今夜の夢に人は現れず  腸もちぎれるほどだ

          起き出して庭を歩めば  月明かりのなか影が一緒にゆれ動く


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「角」(かく)は軍中で用いる角笛のことで、「思帰」は望郷の念をいいます。宰相の李泌(りひつ)が没したとき、顧況は嘲笑的な詩を書いたため、饒州(江西省波陽県)の司戸参軍に左遷されました。詩はそのときの作品でしょう。
 起句は故郷のようすを夢にみたのです。「暁角」は暁を告げる角笛のことで、城壁の上から響いて来ます。「人見えざるに」は語り合える人がいないと解せますが、ここでは思う人(故郷の妻など)と考えました。
 結句の「残月 影徘徊す」は曹植の「七哀詩」(平成25年2月16日、17日のブログ参照)を踏まえており、月明かりに照らし出された自分の影といっしょにあてもなく歩きまわるのです。顧況はやがて職を辞し、家族を連れて茅山(江蘇省句容県の東南)に籠もりますが、最後は行方不明といいます。九十歳くらいで死んだとされています。 

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