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ティェンタオの自由訳漢詩 2013

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 中唐10ー顧況
    囝                囝           (後半十一句)

  郎罷別囝      郎罷(ろうは)  囝(けん)に別る
  吾悔生汝      吾(わ)れ汝(なんじ)を生みしを悔(く)ゆ
  及汝既生      汝の既(すで)に生まるるに及び
  人勧不挙      人  挙(あ)げざるを勧(すす)む
  不従人言      人の言(げん)に従わず
  果獲是苦      果(はた)して是(こ)の苦を獲(え)たり
  囝別郎罷      囝  郎罷に別れ
  心摧血下      心(しん)摧(くだ)け  血下(くだ)る
  隔地絶天      地を隔(へだ)て   天を絶(た)ち
  及到黄泉      黄泉(こうせん)に到るに及ぶまで
  不得在郎罷前   郎罷の前に在るを得ざらん

  ⊂訳⊃
          父親は子に分かれるときに言う
          「お前を生んだことを後悔する
          お前が生まれるとき
          人々は生まないように勧めた
          人のいうことを聞かなかったので
          この苦しみを受けるのだ」
          子は父親と別れるとき
          心は砕け  血の涙が流れる
          「天と地ほどに遠くはなれ
          あの世へ逝ってしまうまで
          もはやお側にお仕えすることはできません」


 ⊂ものがたり⊃ 後半十一句のはじめ六句は、囝がいよいよ遠くへ連れ去られるときの父親の言葉、つぎの五句は囝の別れの言葉です。「前に在るを得ざらん」を「お側にお仕えすることはできません」と訳して囝の健気な心映えを示しました。
 宋代の呉曾(ごそう)が書いた『能改斉漫録』という書によると、徳宗の貞元三年(787)に十六歳の白居易が初めて長安に赴き、顧況に面会しました。そのときすでに六十歳を越えていた顧況は、若い白居易の名刺をみて「長安 米貴(たか)し、居(きょ) 大いに易(やす)からず」と言ったそうです。だが、白居易が差し出した作品(平成22年8月12日のブログ参照)に目を通すや、その詩句に感心し、「箇(こ)の語を道(い)い得れば、居 亦た何ぞ難(かた)からんや、前言は之れに戯(たわむ)れしのみ」と言って称賛したといいます。

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